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***山田としお メールマガジン No.291***
2013年2月26日発行
山田としお公式ホームページ
(http://www.yamada-toshio.jp/)
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求められる徹底した情報開示と国民的議論
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【概要】
日米首脳会談における共同声明は、米国の従来の姿勢を一切変え
ていません。しかし、一方で、安倍総理は、総選挙における公約の
実現をはかるべく、相当、無理を言ったのだろうことが共同声明の
内容に現れています。それが、「日本側は一定の農産品でセンシテ
ィビティを抱えていること」の文言です。
しかし、入場料とも言われる保険について残された懸案事項があ
ることや、非関税措置に対処することが求められるなど、交渉参加
を決めても、3ヶ月間、議会の了承を得るまで、相当の注文がつく
だけでなく、相当の困難な闘いが続きます。
ともかく、まず必要なのは、共同声明の内容も含めた情報の開示
と、国民的な議論です。交渉参加の判断は安倍総理にゆだねたにし
ても、その決断が、大きな政策の失敗にならないよう、十分な手を
尽くさなければなりません。
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【米国の姿勢は従来と変わらず】
日米首脳会談で共同声明が出されました。
内容的には、従来から米国が主張してきていた「包括的で高い水
準の協定を達成していく」という基本は何ら変わらず、しかし、以下
のことが盛り込まれています。
(1)日本側は一定の農産品で、米国側は一定の工業製品(多分自動車
のこと)でセンシティビティを抱えていること
(2)全ての物品が交渉の対象とされること
(3)最終的には、交渉の中で決まっていくものであること
(4)一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束すること
を求められるものでないこと(解かりにくいが、これが「聖域なき
関税撤廃が前提でない」ということらしい)
(5)自動車や保険について残された懸案事項に対処し、その他の
非関税措置に対処すること
(6)TPPの高い水準を満たすことについて作業を完了すること
安倍総理は、このことをもって選挙で公約した「聖域なき関税撤廃
を前提とする限り交渉参加に反対する」との約束は何とか守ることが
できたとし、交渉参加を判断してゆくとしました。早急に党に報告し、
政府の専権事項として、一任をもらうといいます。
【脚色された共同声明】
私は、19日に予算委員会で総理に質疑しました。その感触からす
ると、「総理は交渉参加を判断しない」と受け止めていましたが、
全く外れてしまいました。私が総理は判断しないとしたのは、米国
は、自動車の問題等からして、日本の交渉参加に強い反対があるこ
と、しかしながら、全ての品目を交渉のテーブルに載せるという原則
は譲れず、日本の「聖域なき関税撤廃を前提とする限りは交渉参加
に反対」(言い換えると、交渉にあたっては一定の品目は関税撤廃
の原則から除外されるべきである)を約束することは到底できない、
としてくると考えていたからです。
ところが、共同声明は、そのことをうまく脚色して、いかにも、
「聖域なき関税撤廃を前提にしない」かのように装いました。すな
わち、「交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあ
らかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」
の文言です。極めて回りくどい言い方です。原文は、「it is not
required to make a prior commitment to unilaterally eliminate
all tariffs upon joining the TPP negotiations.」というものです。
「聖域なき関税撤廃」という言葉の扱いについては、私も予算委員会
で質疑し、官房長官に各省の統一を求め、その後、外務省から、
「eliminate tariffs with no sanctuary」という英訳を示して
もらっていましたが、共同声明では、この「聖域なき」という文言
を使わなかったようです。そこにどんな折衝があったのか、その
いきさつを知りたいものです。
共同声明ですから、米国側もかかわっていたはずであり、米国側
の狙いもどこにあったのかも知りたいものです。ともかく、米国側
は言質を与えないようにしましたし、日本側は、総理が判断しやす
いように働きかけたということでしょう。
【これからが本当の闘いだ】
さて問題はこれからです。
私は、総理の言う、政府の専権事項というのは、行政上はその通り
ですが、政権公約をして、国民が支持し、自民党を圧勝させた経緯
からして、今ここで政府の専権を持ち出すのは総理の大きなミスだと
思います。共同声明の内容に懸念があるのですから、そのことも
含めて、与党を構成する議員の意見を聞き、納得を得るようにすべき
です。まず行うべきは、議員総会であり、総務会です。その手順を
しっかりと踏むべきです。
その諸会議の中で、何が残されているのかが議論になります。す
なわち、(1)日本側の言うセンシティビティな農産品とは何を指
すのか、米国側の工業製品というのは何を指すのか、どんな問題を
抱えているのか、(2)事前協議において、さらなる懸案事項であ
るという自動車や保険、そして非関税措置とは何を言うのか(3)
全てが交渉の中で決まると言っても、交渉に際して、あらかじめ関
税撤廃でないものとして打ち出すものは一体どんなものであるのか
等々、少なくとも共同声明に盛り込まれたことについてきちんと情
報を開示し、国民に理解と合意を求めることが必要です。また約束
していた統一的な影響試算も示し議論すべきです。
これらの手順なしに、交渉参加を決めた場合、参議院選挙も含め
て、その後の困難は、全て安倍総理の責任になります。
日本が交渉参加を決めても、それから3ヶ月間、米国議会から、
様々な要求がぶつけられます。それに答えなければなりません。そ
して交渉参加が認められても、米国のみならず、豪州等から、例え
ば農産物について強い自由化圧力がかかります。交渉は何年もかか
ります。この間、散々、経済界やマスコミから「農業で妥協しろ」
という攻撃が加えられることになります。この間、ただでさえ、苦
しい経営を続けている農業者は委縮しかねません。
総理は、予算委員会での私の質疑に、「農は国の礎である」「農
業を自動車の犠牲にしない」「美しい棚田のふるさとを守る」とお
っしゃいました。
総理は、交渉参加の判断においては、この信念を明確にすべきで
あり、経済界に自制を求めるべきですし、農業関係者には決してひ
るむことなく、日本の農業をより強くする観点で、何を守り、そし
て、日本農業を発展させるためにどう取り組むか、それを支えるた
めの政策をどう打ち出すか、しかるべき検討を指示すべきです。
農業関係者は、そのことに全力を挙げねばなりません。
闘いは、今日から、再び始まるのです。
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