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***山田としお メールマガジン No.258***
2012年4月12日発行
山田としお公式ホームページ
(http://www.yamada-toshio.jp/)
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被災地を再訪
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【JA伊達みらい】
ほぼ一カ月連続した予算委員会が4月5日にようやく終わりました。
予算案そのものは、参議院は委員会でも本会議でも、野党側は一致
して反対しました。膨大な赤字国債発行を前提にしたものであるこ
と、基礎年金の国庫負担分をまだ法案も出していない消費税をあて
にしたものであることなど、反対理由は一杯あります。もっとも予
算は、衆議院の議決が優先なので、両院協議会等の手順を踏んだう
えで与党多数の衆議院の議決で成立しました。
翌6日は、日程が入らなかったので、ここ数カ月どうしても伺え
なかった被災地の宮城・福島を訪ねることとしました。6日は、福
島県を訪ね、リンゴ、桃、柿等果樹の木々の除染に忙しいJA伊達
みらい、福島市のJAビルに間借りしているJAふたば、そしてJ
A新ふくしまを訪ねました。
JA伊達みらいの大橋組合長からは、国内有数の果樹の産地とし
て、セシウム汚染の問題を聞くことが出来ました。果樹の除染は、
水による高圧洗浄と、木々の樹皮のはぎとりだといいます。農家の
皆さんの総出で取り組まれましたが、JA伊達みらいだけで、慣れ
ない仕事で26人もけがをしたといいます。皮のはぎとりが出来るリ
ンゴや桃は放射線量を30〜40%低減できましたが、柿は10%程度し
か線量が落ちず、夏から秋の果実にどう影響するか心配されていま
した。
とりわけ、基準値が500ベクレルから100ベクレルに大きく下げら
れたため、クリアできるかどうか、本当に心配されていました。ま
た、これから露地のサヤエンドウの出荷が始まるので、深刻です。
検査を外注する場合の経費を試算されていましたが、昨年は風評で
売れず、例年の120億円の販売高を大きく下回る70億円の販売にし
かなりませんでしたが、検査費の見込みは1億6500万円にも上ると
いいます。これら販売の低迷も検査費のコストもきちんと賠償して
もらえるのかどうかも心配されていました。
【JAふたば】
JAふたばの志賀組合長は、避難が解除された管内の2支店の開
設が始まったので喜んでおられていましたが、一方で、どれだけの
組合員が帰ってこられるのかを心配されていました。原発を管内に
抱える町は、今後どうなるのかも心配ですし、JAをどうするか、
福島県下全体のJA再編も含めて議論が行われています。ご苦労は
まだまだ続きます。
【JA新ふくしま】
JA新ふくしまでは、事故のあった福島原発は廃炉にし、地下処
分施設等も含めて原発記念公園とし、作付が制限される地域での作
物はバイオエタノール等の製造に充て、再生可能エネルギー基地と
して整備する。そして原子力の総合研究を行うセンターも建設する
など、世界に冠たるエネルギー研究実践地域に再生させる。そうし
た構想を吾妻組合長から聞きました。
【山形では、ふるさと対話集会に出席】
翌7日は、山形の山辺町と中山町で遠藤利明先生の主催で開催さ
れたマイクのいらない「ふるさと対話集会」に出席しました。当日
は、吹雪が止まず、梅の花も桜の花もまだまだで、皆さん、雪害と
台風並みの低気圧での果樹被害をどう扱ってもらえるのか、TPPに
どう対処するのか、米作の担い手が高齢化しており担い手づくりに
向けた新規就農支援の対象の拡大など、多くの意見が活発に交わさ
れました。
【JAいしのまき】
翌8日は、宮城の被災地を訪ねました。
JAいしのまきの松川専務は、私が昨年の被災直後に訪ねたこと
を良くご存じで、なぜそのあと1年間も来なかったのか、早く来て
ほしかったと、問い詰められました。申し訳ありませんでした。
津波をかぶった水田はガレキやヘドロの除去がようやく出来て、
今年の作付に向けて、1週間ごと4回湛水し除塩する作業に取り組ん
でおられました。また海辺の壊滅した地域では、2年ぶりの苗づく
りの種まきが共同作業で行われていました。この集落は、300戸で
すが、78人が亡くなり、機械も施設も全て失い、会社組織の営農組
合で100ヘクタールを受託し、全ての機械や施設を災害復興交付金
で改めて取得し、マイナスの負債を抱えて出発したといいます。皆
さん、ここに至るまでの苦労と再出発の喜びで活気がありました。
そして、1年前に、ともに涙した大川小学校で祭壇にお参りしま
したが、まだ見つからない4人の子供たちの捜索が進められていま
した。周囲はきれいに片づけられていますが、壊れた学校がぽつん
と残され、悲しかった。堤防が決壊して一面海のようになっていた
水田は、水は引いていますが地盤沈下が激しく、作付が出来るよう
になるまで2年はかかるといいます。
【JA南三陸】
そして北上川にかかる、流されて仮設の修理がおこなわれている
鉄橋の大橋を渡り南三陸町に向かいました。ここも1年前の一面破
壊しつくされた町はすっかり片付いており、家々の基礎だけが残っ
ていました。所々、水が浸ったままになっているのは、沈下のため
だといいます。奥の山あいにまで津波が押し寄せ、農村集落が壊滅
した地域では、山間に仮設住宅があり、さらにその奥の耕作放棄さ
れていた地で、野菜づくりのハウスが何棟も新設され、今は数も少
なくなったとはいえ20名の県外からのボランティアの皆さんが石こ
ろの排除などの作業を続けられていました。自宅を失った村の若者
3人が共同で農業を復活させるといいます。村は高台に移り、破壊
された集落の跡は新しい農業団地にしたいといいます。それにして
も、復興のための事業は、人手がないこともあって遅れに遅れてお
り、事業単価も高騰しており、入札しても辞退が増えているといい
ます。
【JAみやぎ登米、JA栗っこ】
その後、内陸部に入り、JAみやぎ登米とJA栗っこでは、セシ
ウムに汚染された稲わらが、人里離れた田んぼの中に設置されたハ
ウス内の隔離保管と、畜産農家の庭先にラッピングされたまま行き
場の無い稲わらの山を見せてもらいました。カラスがつついてラッ
プが破れる場合も多く、お孫さんも一緒に住んでおり、何とかして
ほしいとの悲痛な思いを訴えられました。
家畜の糞尿からもセシウムが出ており、市が設置しJAが運営す
る堆肥センターの周囲も、持ち込まれた糞尿がラックに入れられて
山のように積まれています。乾燥させるとさらに基準値を超えるこ
とになるため、製品化作業はストップしたままになっています。早
く、中間貯蔵と最終処分の方向が早急に示されなければなりません。
原木しいたけ農家も深刻です。原木は2年間使用し、年4回、2年
で8回にわたり使用するといいます。洗浄して使い、しかし、2年の
途中でしいたけのセシウムの基準値が500ベクレルから100ベクレル
に引き下げられたため、その原木が使えなくなり、多くの原木を廃
棄せざるを得ないといいます。もっともこれも庭先から動かせず、
ハウスの裏に積み上げてあります。新たに、放射線に汚染されてい
ないと見られる岩手の北の方から原木を仕入れたといいます。もち
ろんその原木も洗って検査もしています。そしてその原木も価格が
高騰しています。
まだ、原木の手当てが出来た人はいいのですが、手当が出来ない
人も多いといいます。福島のしいたけ農家が自殺されたということ
もあり、先行きを深刻に心配されていました。
その夜には、両市の肉用牛農家の皆さんに集まっていただき、意
見交換をしました。皆さん、水田と畜産の耕畜連携の取り組みを続
けてこられており、これで地域の農業を支えてきたという自負のあ
る皆さんですが、セシウム汚染で、この取り組みが壊されようとし
ていることに我慢がならないという怒りがありました。そして、東
電との損害賠償を求める話し合いの場でも、仙台牛の銘柄評価を求
めたにもかかわらず認められず、支払いが滞っていることや、さら
に東電の担当者の、どちらが加害者で、どちらが被害者なのかわか
らないような暴言や態度に怒りを禁じえないと、慨嘆されていまし
た。
思い一杯の皆さんのやり場のない怒りと悲しみを私も痛感しまし
た。
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