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山田としお メールマガジン429号
茨城県・秋田県、そして米の価格形成について

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        ***山田としお メールマガジン No.429***

                    2019年6月18日発行 

                 山田としお公式ホームページ
              (https://www.yamada-toshio.jp/)

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         茨城県・秋田県、そして米の価格形成について

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【茨城 − 12年前のJA北つくばの感激を再び】
 茨城県は、先に2日間かけて、太平洋に沿って福島県と隣接する
JA常陸とJA日立市多賀からJAなめがたしおさいへ、そして2
日目は、JAやさとからJAつくば市谷田部へ、順次JAを訪ねて
いた。3日目の今回は、内陸のJA北つくばから、南の利根川まで、
JA常総ひかり、JA茨城むつみ、JA岩井、JA茨城みなみを訪
ねた。
 ところで、JA北つくばは、強烈な思い出がある。私が最初に選
挙に出た時は、当時、組合長だった加倉井さんが、すごい集会を開
催された。大きな体育館は一杯だった。それが、JA北つくばの空
前の票につながった。JAグループ初の参議院議員候補を当選させ
ようという思いだったのだと思う。
 そして、3期目挑戦の今回も、吉川組合長はじめ、多くの役職員
が玄関前で迎えていただき、そして2階の会議室には、農業者の皆
さん、そして女性部の皆さんが陣取り、玄関で迎えていただいた職
員の皆さんが後ろに立って、会場一杯の集会を開いていただいた。
本当に感謝です。おかげで私の国政報告も気合いが入りすぎて、時
間オーバーで心配をおかけした。
 

【秋田 − 大潟村の減反拒否の悪夢、再び 〜自由な価格形成の問
題噴出〜】
 秋田県は、茨城県を終えた後、羽田空港から夜に秋田空港に着き、
翌日早朝にJA秋田おばこを訪ねた。数年間に渡り、県外の卸売業
者に米を出荷していたが、代金の精算が滞り、それが積み重なり、
その業者が倒産し、農協は大きな損失を被っていた。この間、農協
は、組合長がご病気で亡くなり、新しい体制のもと、役員責任等を
問う形で5年計画の清算計画を立てられ、着実に実行に移されてい
る。この間のJAの役職員の苦しみは、どれほどだったか、想像で
きないほど大きかったと思う。ともかく、JAは体制を改め、新し
く出発する。JAの雰囲気には、緊張感がにじみ出ていた。大変な
ご苦労ですが乗り越えましょう。
 ところで、昼の時間には、中央会・連合会で集まりを持っていた
だきました。そこへ、私の30年来の親友(私がJA全中の水田農業
課長をしていた時の全国農協青年組織協議会の会長を担っていた
柴田正敏さん、現秋田県議)がおいでになり、集まりでご挨拶をい
ただいた。
 柴田県議は、私と一緒に、当時、大潟村の生産調整を拒否する農
業者への働きかけとして、JA全中が秋田市内で集会を開いて、生
産調整への参加を訴える、それもセスナ機を飛ばして大潟村の上空
から呼びかけるという動きを行ったことを報告した。私は、それら
の行動の現場責任者だったわけで、全国紙でも報道され、賛否両論
で、私も相当矢面に立たされていた。しかし、当時、柴田さんも、
私も一生懸命だった。米政策の歴史的局面を、当時の当事者が揃っ
たところで話題になった訳だが、偶然だったが未だに深刻な話であ
った。
 今日、ご案内の通り、生産調整目標(今は生産数量目標だが)は
あるものの、当時に比べて、取り組みは多様化してきており、罰則
も強制もないのだが、どこかで破綻しかねない爆弾を抱えているよ
うなものであり、もっともっと詰めた整理がなされなければならな
いと、私自身は自覚し、覚悟もしている。
 ところで、当時、私達と一緒に生産調整問題を担当していた農水
省の部長は、事務次官を経て、経済団体が出資している日本経済調
査協議会の委員長として、最近、米政策について報告書をまとめら
れているが、その骨格は、20年後までに、日本の米の生産・流通・
販売、そして価格形成を自由にし、価格は、国際価格水準で他国と
競争しながら流通・販売していくと提言している。その際の農業経
営者像、農村の姿、国土の状況、JA等流通・販売業者の姿、貿易
の状況、国内生産の確保のレベル等、どういう絵を描いているのか。
しかし、それが示されていない。
 

【全米販 − 懇談会の席で、米の価格形成について論議の会の設置
を要望】
 つい最近、日本の米取引に関して、先物市場の扱いについて継続
か、廃止かが議論となっているが、いたずらな期待をあおる危険性
がある一方で、需要に基づく価格形成への指標を求める声もある。
いずれも簡単ではない。
 土地利用、作目の動向、需給変動、輸出入、備蓄、生産と流通の
担い手像、他の作物との関係等々、改めて、歴史を振り返りつつ、
また、作物の取り組み等々を検証しつつ、早急な詰めが必要である。
 ところで、全国の米卸・販売業の皆さんが組織する全米販の総会
後の懇談会に出席した。ちょうど秋田県のJA訪問と同時期だった
ことや、また、堂島の先物取引の存廃が議論になっていることもあ
り、私は、改めて米のあるべき政策、とりわけ、価格形成について
時間をかけた議論がきちんとなされるべきであると申し上げた。
 私の問題意識は、近年の米の生産・流通・販売、そして価格形成
について、「一貫した政策が確立されていない」のではないのかと
いう疑問である。
 これまでの生産数量目標の配分を行い、その達成にともなうメリ
ット措置を講じて、その実効を確保するやり方を止め、生産者の自
覚にゆだね、作柄等による県ごとの目標を示しつつも、需給は、そ
の動向をみて、備蓄や飼料用米への仕向け等を考える。しかし、価
格形成は、相対なり、業者間の取引にまかせるというやり方で本当
に定着できるのかどうか、常に不安の中での動きになるのではない
のか。または、こうした中でも、取引業者等の種々の甘言や奸計に
より損失を被っている生産者やJA等が存在するのは常であり、こ
の点を何とか透明性と、当事者間の納得性が確保されるべきである。
 これらについてきちんと関係者が知恵を出して、試行錯誤を繰り
返しつつも、可能な限り納得できる安定した価格形成を実現する仕
組みが講じられるべきと考えている。
 だから、米の卸団体である全米販等は、まさに、この議論を進め
ようではないか、そのため、農水省や全農とも一緒になり、学者も
加えて検討会を行うべきではないかと発言させてもらった。演壇を
降りたら、全米販の木村理事長が「その通りです」とおっしゃって
いただいた。
 かつて約10年間、実施した自主流通米価格形成センターは無くな
っており、今は、各地のJAや全農等と業者間の相対取引の積み上
げが一定の相場をつくっているのだが、一方で、相変わらず、先物
取引がなされるべきとする主張もある。そして生産段階では、一定
の精算金の追加支払い等々の工夫を行っているのだが、安定的では
ない。仲買など業者の様々な攻勢や甘言もある。米どころのJAは
一喜一憂の苦労を行っているのだと思うと、「米の生産・流通・販
売は、こうした形でしっかり対応するのだ」という大きなルールみ
たいなものが、あるようでない。皆、何となく不安と不満を持って
いる。
 国も備蓄買い入れや飼料用米など、主食用以外への流通や需給安
定を目指した「キャラバン」等による説得・働きかけ、そして、そ
れでも価格が下った場合の、一定の補填を行うナラシ制度の運営を
行っているのだが、今こそ、内外の知見を得て、整理してみようで
はないか。
 少なくとも日経調報告のような乱暴な提言をさせて、混乱させて
はならないし、もっと言うと、米生産者やJA等が安心して生産に
勤しめる信頼を実現しなければならないのだ。


【秋田 − JA女性部の活動に感激】
 ところで、秋田県では、JA秋田やまもと、そしてJA秋田たか
のすへも訪ねた。
 JA秋田やまもとを訪ねた時、道路脇の花壇に、女性グループの
皆さんが新しい花を植えておいでだ。私は、どんなグループなんだ
ろう、行政の仕事なのだろうか、もしかしたらJA女性部の皆さん
の取り組みかもしれないと思ったが、その後の私の国政報告会に、
その女性グループの皆さんが出席されていた。嬉しかった。そうで
す。皆さんJA女性部で、そして准組合員の皆さんだという。女性
部の活動の一環として、街の美化運動に取り組んでおられたのだ。
 当然、私の国政報告会では、「准組合員の利用規制は反対だ」と
力が入ったのは言うまでもない。農村の良さ、JAの良さ、皆さん
の協同の取り組みがこれなんだ。
 規制改革推進会議よ!思い知ったか!と叫びたかった。


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