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山田としお メールマガジン391号
波乱の通常国会を終える

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    ***山田としお メールマガジン No.391***


                     2017年6月16日発行

                山田としお公式ホームページ
            (http://www.yamada-toshio.jp/)

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          波乱の通常国会を終える

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【決算委員会で3回、農林水産委員会で2回の質疑を行う】

 満を持して臨んだ農業共済制度の見直しと新たな収入保険制度の
創設に関する農林水産委員会の質疑でしたが、ハーフスイングに終
わってしまいました。残念です。

 今国会の農林水産委員会の質疑は、議論の多い種子法等2本の廃
止法案も含めて、8本にもわたる法案審議を控え、私は、これも問
題の多い農業競争力強化支援法案、加工原料乳暫定措置法を改変す
る畜安法改正案、収入保険制度に関する農業災害補償法の改正案
(名称を農業保険法に改正)について質疑することをねらいにしてい
ました。

 そこで、酪農制度は、規制改革推進会議と関連して、決算委員会
で総理と官房長官に質疑しましたし、農業競争力強化支援法案と農
業保険法案は、農林水産委員会で質疑しました。ところが、国会は
会期末を迎えて、混乱し、結局、農業保険法案については、質疑を
30分、参考人質疑を15分行ったのみで、あと翌々日に予定していた
20分の質疑は、国会の混乱で審議時間が削られたため、準備してい
たのにチャンスを失うこととなりました。


【心残りは、収入保険事業で十分な質疑ができなかったこと】

私の質疑の項目は、

(1)農業共済事業を補完する収入保険事業は、災害による減収等も
含めて、農家の経営全体の収入の補てんを行うものであるため、コ
メ以外の作物の生産や加工・販売等への新しい挑戦についても収入
を補てんするものであり評価できること

(2)しかし、全戸加入と一筆調査を制度の基本にしていた農業共済
制度に比べて、個々人の判断で加入できる収入保険事業のねらいは、
自由な生産・流通・販売を前提にしたものではないのか

(3)そのことは、国家戦略特区や農地中間管理機構で誕生している
農外企業が農地を所有して農業経営に参入している「農地所有適格
法人」も収入保険事業に加入できるということが如実に示している
といえること

(4)4年前に、必ずしも農業政策を承知していない民間経済人である
産業競争力会議の農業分科会座長による「国によるコメの生産数量
目標の配分を廃止する」との提言と、今回の収入保険事業の創設は
関連しているのではないのか

(5)国によるコメの生産数量目標の配分が行われないということと、
個々人の判断で加入できる収入保険事業が連動すると、農水省や自
治体やJA等の努力にもかかわらず、米の需給緩和が生ずることにな
るのでないのか、それを放置しておくと、大混乱が生ずるので、そ
のためにもきちんとした在庫調整対策が必要だが、その仕組みをき
ちんと作るべきだ

(6)また、こうした需給緩和の中で、いたずらな集荷販売競争が激
しくなり、様々な混乱が発生しかねないが、そのためにもコメの価
格形成や現物取引の場が必要ではないのか

(7)ナラシ(収入減少影響緩和対策)の制度と並行して収入保険事
業が実施されることとなるが、早晩、規制改革推進会議が、経営安
定の要素が強いナラシに焦点を当てて、両事業の調整・再編を求め
てくるのではないのか

 残念ながら、私の13日の質疑では、上記の前半部分の質疑で終わ
ってしまいました。
 私自身は、収入保険事業の意義は認めつつも、地域の共同の礎に
なっていた農業共済事業から、個々人の判断で加入することができ
る収入保険は、自由な生産・流通・販売という競争の世界に入って
いくことを前提にしたものでないのか。また、現行のナラシ対策と
重なる部分が多いことから、規制改革推進会議が早晩、ナラシの制
度の改廃を求めてくるのではないのか。さらに、4年前の規制改革
推進会議の前身組織である産業競争力会議の農業分科会座長の提言
に従って、国によるコメの生産数量目標の配分を来年産から行わな
いことと相まって、需給緩和が生じ、米価の低落と、いたずらな集
荷販売競争が生ずるのではないのか、とする懸念を質しました。


【まさに、これから、多くの心配事に全力をあげます】

 3人の参考人への質疑も行いましたが、私の大切な友人である北
海道上川の和寒で、50ヘクタールの水田と畑作、直売店での販売に
も取り組んでいる中原氏は、試算してみると、現行の農業共済とナ
ラシに比べて、収入保険事業のメリットが少ないことを指摘すると
ともに、米国が行っている収入保険の仕組みは、収入が下がり続け
る場合は一定の支えを持っていることを例にあげ、収入保険事業に
メリットが出るように対策を講ずる必要性を主張しました。

 また、同じく十勝で畑作を行っている山川氏も北海道の畑作地帯
のJAの試算によると、どの農家も収入保険のメリットが少なく、入
らない方がいいとの結果が出ているとの発言がありました。

 まさに、これらの懸念にどう答えるのか、大臣はじめ局長から見
解を聞きたかったが、短時間の質疑時間しかなく、十分な議論がか
ないませんでした。ともかく法案は成立しましたので、これからの
制度運営の中で、改善すべきところは改善すべく全力をあげたい。
とりわけ、過剰が生じた場合の米価の低落と、いたずらな集荷販売
競争は、農業者のみならず、JAのカントリー等の施設の稼働にも影
響を与え、混乱を増幅する心配があります。

 まだまだ課題・問題が一杯あります。しっかり議論して、対策を
講じてゆかねばなりません。


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●都市農業振興に関するメルマガ(390号)への追加

 2017年6月14日発行の「都市農業振興基本法の具体策を決定」と
題するメルマガで、三大都市圏特例市を中心とする生産緑地制度と
その貸借を可能とする対策を取りまとめ、実現に向けて動き出して
いることを報告しましたが、「地方都市の市街化区域内農地」につ
いての項目を抜かしてしまっていました。その部分を以下掲載しま
す。


【地方都市における都市農地(市街化区域内農地)の20年の継続と生
産緑地化】

 三大都市圏特例市以外の市街化区域内農地は、20年間の継続した
農業の実施により、相続税納税猶予が適用される制度になっていま
す。今回の都市農地対策で、それら市街化区域内農地も引き続き自
らが農業を継続する限り、相続税納税猶予が継続する形で税制改正
を行うこととします。

 しかし、これら市街化区域内農地の固定資産税は宅地並みとなっ
ており、今も高い水準の税金を負担せざるを得ません。そのため各
地から、市街化区域内農地についても農地課税への要求が強くあり
ました。この解決をどう図るかも、都市農業振興のためには不可欠
な課題としてありました。そのため、地方都市も生産緑地化すれば
三大都市圏特例市の農地と同様、貸借も可能とし、農地並み課税と
することが出来るようにします。これまでは、ややもすると自治体
側が、生産緑地化にあまり積極的でないきらいがありましたが、地
方都市においても、農地と緑と食を供給する観点から生産緑地化を
大々的に進めることとします。もちろん生産緑地化すれば、課税を
農地並みに軽減し、貸借も可能になります。

 これらについては、国としても、都市農業振興法の趣旨に乗っ取
り、自治体に対して生産緑地化を強力に働きかけるものとします。
また、都市農業振興のための予算措置もしっかり確保するよう政府
に約束させています。


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