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***山田としお メールマガジン No.378***
2016年10月17日発行
山田としお公式ホームページ
(http://www.yamada-toshio.jp/)
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TPP関連対策で全国キャラバン
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【生産資材価格問題で大議論】
自民党農林・食料戦略調査会と農林部会による「TPPに関する総
合的な政策対応に向けた提言」において継続検討とされていた論点
の議論が、大きな山場に差し掛かっています。我が国の農業を改革
する、そのための政策・予算・制度を検討するというもので、その
任に当たる骨太方針策定PT等が、農林部会長の小泉委員長を中心に
連日の議論を展開しています。
骨太方針策定PTのテーマは、生産資材の価格形成の仕組みの見直
し、生産者の所得向上に資する流通・加工業界構造の検討、農政新
時代に必要な人材力の強化、原料原産地表示の検討、戦略的輸出体
制の整備、チェックオフ制度の導入です。
これらの課題の一方で、規制改革推進会議が、生乳の指定団体制
度の改変を議論しており、そのほかに、農業基本政策検討PTのもと
で、収入保険制度の導入と農業災害補償制度の見直しの検討、さら
には土地改良制度の見直し等が議論されています。このほかに、私
が委員長を担う都市農業振興の制度と税制課題の検討や、連続した
台風・豪雨被害対策、まだ復興に時間のかかる熊本地震対策もある
ため、党内では連日会議が続くという状況です。加えて、TPP対策
の関連でSBS米の輸入に伴う調整金問題も噴出し、TPPの議論を難し
くしています。こうした中で、生産調整・収入保険・共済制度等の
あり方の方向を決めるのは容易でなく、これらはもっと時間をかけ
て検討すべきではないかと思います。
【韓国との単純な比較は問題あり】
ところで、当面は、小泉委員長が全力を挙げ、マスコミも注視す
る骨太方針をどう取りまとめるかです。とりわけこの問題は、農業
者はもちろんですが、過去2年余り、JA改革で散々責められ続け
たJAの関係者にとっては、再度にわたり、具体的な仕事の仕方で
厳しい注文をつけられることとなっています。
一番象徴的に取り上げられているのは、日本の生産資材価格が高
いということであり、韓国と比べて、肥料は2倍、農薬は3倍、農機
は2〜6割高いということが象徴的に取り上げられています。農水省
の資料や日本農業法人協会の現地調査でもそうだとされています。
そしてその原因は、肥料で7割、農薬で6割、農業機械で5割、配合
飼料で3割のシェアを持っているJAグループの仕事の仕方にある
と議論になっています。
このことと関連して、JAは多段階にわたり手数料を取っているの
ではないのか、生産者の部会の要請に応じて肥料の銘柄や段ボール
の規格を限りなく増やしているからだとか、経営マインドがなく、
少しでも安く仕入れるという努力がない、JAはそういう体質にな
ってしまっているのではないのかといった批判がなされています。
とりわけ、色んな経緯でJAから離れた生産者で、日ごろからJA
の仕事の仕方に不満を持っておられる畜産等の団体の方からの非難
が多く出されていますし、農業資材等を中心に扱う量販店に比べて
JAの資材は高いという批判も続きました。
JAの関係者が、高いものを売りつけて漫然としていることなど
は決してないのであって、仕事の仕方を改めなければならないとこ
ろは反省し改革に全力を挙げ、しかし、いわれなき批判にはきちん
と説明し、また反論もしなければなりません。
私自身も例外ではありません。でないと、38年間もJA組織にい
て、その皆さんの支援で議員を続けている私が、説明のできない人
生を送ってきたことになってしまいます。
【韓国は、国家主導で化学産業育成】
先週14日の骨太PTで飼料・肥料・農機の有力メーカーの皆さんか
らのヒアリングがあった際に、本当に韓国と比べて2〜3倍もするの
か、率直に答えてほしいと質問しました。すると、各メーカーとも、
2〜3倍という価格差はなくて、「飼料」は「日本は農家からの指定
配合が大半で、主原料が違っている」「栄養価は日本の方がいい」、
「肥料」は「韓国の工場は規模が大きく操業率も高い」「韓国は輸
出で稼いでいる」、「農機」は「韓国はシンプル機で対応している
が、日本の方が機能等のレベルで数世代の差がある」「日本は製品
力が高い」等の意見でした。
実は、私は、この2〜3倍の議論は正しいのかどうか、それを確か
めようということで、実質2日間の調査でしたが、国会が始まる前
の9月末に韓国を訪ねていました。もちろん、短い日程で十分に調
査しきれていないところもありましたが、事前に調べていたことも
含めて受け止めたのは、以下のことでした。
一つは、韓国は、戦後の経済復興の中で、輸入原料の確保と加工
のために、国家が主導する形で港湾の整備や、その周囲の大規模化
学工場の配置という政策を講じてきたこと
二つは、「北」との関係もあり、農業生産力の強化を図るべく、
基礎肥料(石灰・けい酸・加里)を国から3年に一度農業者に支給
していること
三つは、農協中央会が関与した形で、メーカーとの間で入札の仕
組みが導入されており、国の指導のもと、それを厳格に運用してい
ること
四つは、大陸の半島である韓国と違って、日本は南北に長い火山
島の国であり、高温・多湿・寒冷の四季があり、多様な土壌と季節
に対応した栽培が求められ、資材も多様になっていること
等々を確認することができました。
また、韓国は、日本よりももっと極端な形で、ソウルを中心とし
た大都市が形成され、農村部は圧倒的に過疎化し、就農者が少なく、
かつ高齢化が進行しており、基幹の農作業等は、タイやベトナム等
の外国人労働者に依存しており、また委託生産も多いといいます。
韓国を訪れ、韓国の農業も多くの困難を抱えていることを知ること
ができました。
【JAは自主改革を基本に万全を期そう】
言われるようにJAが高いものを農業者に押し付けているわけで
はありません。理由のない手数料を取っているわけでもありません。
JAに隣接して設置されている例が多い商系の資材店に比べて高い
価格で売っているわけでもありません。定期的に調査し、資材の品
質も価格も負けてはいないことは確認できています。農協の営農指
導員が引き抜かれて、商系の指導員になっている例もあるようです
が、JAはもちろんそれに負けていませんし、努力を行っています。
もちろん、改革すべきところは改革しましょう。点検活動と改善
運動を今まで以上に展開しようではありませんか。誇りをもって仕
事をしましょう。私もそうします。
規制改革推進会議のメンバーによっては、JAの事業や組織を攻
撃し、家族農業や地域の共同活動を軽視し、農業外の株式会社の参
入でこそ、新しい技術が導入できるし、経営マインドをもって改革
してゆける、若者の農業参入もこうした企業経営でこそ安定した雇
用を拡大してゆける、という観点での議論が展開されています。そ
の全部を否定はしません。
しかし、本当に、資材価格の引き下げという競争の中で経営の展
望が開けるのでしょうか。競争・競争の中で、お互いを支え合うこ
とを失ったり、産地づくりも、地域の全体としての所得の向上も失
いかねません。共同の意義はそこにあると思います。地域の特性、
そして国の特性を認めていくことが必要です。支え合う原点は、家
族農業と地域の共同が不可欠です。
今や家族農業は、家族協定等で役割を分担し、仕事もしやすくな
っていますし、多様な天候や季節変動にも対応できる家族の共同の
力や、地域の支え合いがあります。何にも増して、美しい自然の中
で、家族とともに人生を豊かにできています。このことをベースに
して、間違いのない政策の確立を進めましょう。
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