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***山田としお メールマガジン No.342***
2014年10月14日発行
山田としお公式ホームページ
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米価下落の責任をJAに転嫁するな
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【誤解だらけの米価論議】
米価が著しく下がっています。この原因として、全農が概算金を
低めに設定し、それが取引の基準になっているからだと、全農が攻
撃されています。とんでもない話です。
というのは、全農が米集荷の際の一時金として、生産者手取り価
格の一部ともいうべき概算金を試算するのは、まず、各県産の銘柄
米ごとに、年間を通じて平均してどれだけの価格で売れるかを見込
んだうえで(相対販売基準価格)、そこから運賃・保管料・手数
料・包装代・取引によっては値引き額等を控除して、生産者の手取
りとなる価格として決めます。その場合、ぎりぎりの水準を出す場
合もあれば、また、一定の余裕を見て、精算段階で追加支払いがで
きる金額を見込んで低めに出す場合もあります。ですから、県ごと
に概算金には大きな差が出ています。
たとえば、北陸のA県は1万500円としています。一方、九州のB県
は8,000円としています。これをとらえて、A県は努力しているが、
B県は努力していないというのは間違っています。というのは、B県
は集落営農もしっかりしており、JAの共同乾燥の取り組みもしっ
かりしています。ですから、しっかり集荷したうえで、売り切った
後に、精算し、確実に追加払いを行うことを前提にしているのです。
一方、産地において、JA以外の集荷業者と競争しなければならな
いA県のJAは、業者に負けないぎりぎりの米価水準を出している
ということでしょう。ましてや、東北の米どころの県は、生産量も
多いため、出来秋に一気に売り切ることは無理で、年間を通じて売
り切らざるを得ません。とすると、来年の9〜10月に新米が出てく
るときには、どうしても古米になって価格が下がってしまいます。
場合によれば概算金を下回ることもあるかもしれません。
つまり、様々な要素が不透明な米の収穫前の段階で、年間の価格
の推移を予測したうえで、概算金水準を出さざるを得ないというこ
となのです。もしも、来年に米価が大きく下落した場合は、追加払
いどころか、一旦は支払った概算金から一定額を戻してもらわなけ
ればならないことになります。果たしてそんなことができるのでし
ょうか。できないとすると、これまでの積立金で補てんするか、そ
れがない場合は、翌年産米の概算金を低めに設定するなどして、一
定の追加払いから控除せざるを得なくなるのです。この了解を生産
者から得るのは大変な苦労です。売買を担うということは、こうい
うことなのだと思います。
【政府は食糧法の規定に従い役割を果たすべきだ】
農水省はこうしたことを十二分に承知しながら、JAが概算金を
低く設定したから米価が上がらないのだと攻撃しています。とんで
もないことです。26年産米価下落の原因は明らかなのです。
一つは、昨年の25年産米の在庫があり、今年の4月にこのうちの3
5万トンを、備蓄米の供給管理を行う米穀安定供給確保支援機構を
通じて、これまで生産者が拠出していた財源を使って市場から隔離
したものの、しかしまだ25年産米の在庫が流通段階に残っており、
価格下落傾向が26年産米にも影響しているということ。
二つは、全体として、米の需要が減少しており(毎年7万トン程
度減少)、その分、生産数量目標を減らしたものの、生産調整を行
わない過剰作付があること(約2万8,000ヘクタール、25万トン程
度)。
三つは、消費税増税等の影響で、消費者の購買意欲が全体として
低迷していること(直近の9月の消費者態度指数(季節調整値)は、
8月の41.2から1.3ポイント低下して39.9となり、2か月連続で前月
を下回っている)。
四つは、米が過剰らしいとの情報や雰囲気の中で、卸・小売の皆
さんの購買意欲が高まっていないこと。
五つは、一番大事なことですが、政府が米の流通を基本的に自由
にして、民主党政権時には、これまで実施していた備蓄のための市
場からの政府買入れを行わず、播種前に備蓄米の数量を入札で確保
する仕組みにしたことです。 果たしてこの仕組みが、米の需給及
び価格の安定を図るとする食糧法の規定に基づくものであるのかど
うか、問題があると言わざるを得ません。
また、民主党政権は、同時期に米の先物取引の試験実施を認めま
したが、これらのことは、自由な流通と価格形成を狙いにしたもの
でした。確かに、民主党政権は、価格が下落した場合に補てんする
仕組みを導入しましたが、これはまさに自由な価格形成を前提にし
たものだったのです。とりわけ、民主党政権の初年度の22年産米は、
大きく米価が低落し、この価格下落補てん措置は見事に功を奏しま
した。しかし、一方では、買い手側から、米価が下がっても国が補
てんしてくれるのだから、下がってもいいじゃないのか、その代わ
り相当量の米を引き取るから、というような状況になってしまった
ことも、米価下落に拍車をかけたとも言われています。下落補てん
財源も1,500億円に上り、その財源は土地改良費の6割削減から生み
出したものであるとも言われていました。そのため各地の沼や提の
水漏れが生じても、補修費やポンプアップの費用は生産者の負担で
賄われていました。この米価下落の流れは続く心配がありましたが、
翌年3月11日の東日本大震災と原発事故で、東北の米どころの生産
が減少し、23年産、24年産ともに米価は上昇しました。
【自由な流通を支える仕組みの充実が必要】
こうしたなかで政権復帰した自民党は、下落した価格のすべてを
国が補てんする仕組みは、生産農家の需給均衡への意識を高めず、
米から他の作物への転換も進まず、規模拡大による生産性向上にも
つながらないとしてこれを廃止しました。ただし、今回のような米
価下落時に効果を発揮する収入減少緩和対策(ナラシ)を維持する
とともに、1年限りの措置として、ナラシ未加入の農家には、加入
農家への支払い分のうち、農家拠出部分を除いた、政府補助部分の
半額を交付することとしました。この措置は、一定の支えにはなり
ますが、今後の米価水準如何では、ナラシへの加入者が農家数で7
%、作付面積で30%程度ということもあって、多くの農家の所得減
を補てんするものにはならないとみられます。
こうなると、以下の三つのことが必要です。
一つは、需給を締まったものにするため、豊作分や生産調整未達
成分の米を再度、備蓄米等の在庫積み増しとして隔離すること。
二つは、一定の助成のもとで、下位等級米等を飼料用等へ仕向け
ること。また、全農が、来年産米について、今年産米の3倍に上る6
0万トンを飼料用に仕向ける方針を打ち出しています。このことも
一定の効果があるとみられますが、しかし、来年にならなければ成
否を判断できないという問題があります。
三つは、JAや全農は、卸・小売の価格折衝で、安売りせず、
卸・小売の理解も得て、一定の価格実現に努めること。もちろん、
作柄は必ずしも良くないようなので、今後価格が上がることを期待
したいと思います。
【農業・JA攻撃への悪乗りは許さない】
ともかく、政府は、米価下落はJAや全農のせいであって、俺た
ちは関係ないというのでなくて、食糧法の目的に定める需給及び価
格の安定に向けて、責任と役割を果たすべきなのです。
JA改革で、規制改革会議等は、JAが自由に販売活動を行うべ
きで、それを統制しているJA中央会等は廃止し、JA全農も利益
を求めて活動する株式会社化を選択できるものにするとして、JA
を攻撃しています。しかし、米について、JAも共同集荷、共同販
売を行わず、まさに自由な販売活動を行った場合、こうした過剰化
傾向の中で、一体、価格はどの水準で決まっていくのでしょうか。
販売競争と買い叩きのもとで、しわ寄せは皆、生産者のところへ来
てしまいます。ですから、協同の活動を基本にJAが存在してきた
のではないのでしょうか。
今、企業の論理で、本末転倒した農業改革とJA潰しが進もうと
しています。経済界やマスコミ等からもJA攻撃があるため、それ
に乗っかり、「水に落ちた犬は打て」とばかりの攻撃と責任逃れは
許されません。
先日、社会に出てからも濃密な付き合いを行っている学生時代の
仲間と、定例になっている句会を行いました。題は「菊」と「鈴
虫」で、私の投句は二つ。
「炎飛ぶ 御嶽山に 菊飾る」
「踏まれても 鳴くこと止むな 鈴の虫」
御嶽山の被災者やご家族にお悔やみを申し上げるとともに、私も、
米価問題でも、TPP対策でも、農業・JA攻撃でも、負けません。
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