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***山田としお メールマガジン No.269***
2012年8月6日発行
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災害列島、日本をどうするのか
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【福岡の筑後平野の大洪水】
7月上旬から中旬にかけて、日本列島は集中豪雨で大きな被害を受
けました。九州北部は特に梅雨前線が停滞し、鹿児島、福岡、大分、
熊本で被害が大きかった。20年ぶり30年ぶりという豪雨でした。ほ
かにも、山口、岡山、北陸の富山等も川が氾濫し、被害を受けまし
た。
そこで、7月26日に日帰りで、福岡を訪ねました。筑後平野は、
日本有数の農業地帯ですが、大分と県域を接する山々から流れる筑
後川、矢部川の流域で、山間部は山が崩れ、中流は堤防が氾濫し、
下流は海からの逆流もあり、水田も、家屋も水に浸かってしまいま
した。矢部川は、ホタルが乱舞する清流で有名で、今回全域で氾濫
しました。これまでに2度伺っていますが、星のふる里としてきれ
いな棚田も崩壊していました。道路も寸断していて行けません。一
度訪ねたこともある、八女や朝倉の山間の葡萄の畑、蜜柑の畑、柿
の畑、お茶の畑も流され、菊やトマトのハウスもつぶされていまし
た。
お訪ねしたJAふくおか八女、JA柳川、JA筑前あさくら、
JAにじの各組合長さんや農政連支部長さんらにお会いし、復旧対
策や共済等の被害調査等で戦場のようにあわただしいJAを訪ね
ました。
一番の心配は、高齢化した農家は、ハウスをつぶしてしまった今
となっては、再建して経営を継続することにならないといいます。
また、山津波で流された畑を復旧するには、そこへ行く山道も壊れ
ているためままなりません。このままでは、日本の誇る農業地帯が
崩れかねません。JAの販売力も大きく落ち込んでしまうことを心
配されていました。
【熊本の阿蘇の山津波】
熊本へは、8月3日にお邪魔しました。阿蘇の山々に降った大量の
雨で、外輪山の各所で、山肌を大きな爪で削り取ったように土石流
が生じ、それが里の集落と川をあふれさせ、堤防を壊し、田を土砂
で埋め、熊本市へ流れる白川の各所の堤防を壊していました。19名
もの死者が出ました。
故松岡元農水大臣の実家もお墓も埋まったといいます。亡くなら
れたあとに一度お墓参りに出かけていた山裾に、川を控えて、そっ
と建っていたあの家が壊れたのかと、手を合わせました。
阿蘇の山々は、まさに外輪山の頂上から杉林が爪ではぎ取られ、
それらの丸太が凶器となり家々や橋を壊していました。20数年前に
も、これに近い被害があったといい、今は、灌木が生い茂る薄い緑
の爪痕が随所に残っていました。この山の人工林をきちんと間伐す
るなり、皆伐しないと再び同じことが起こりかねない心配がありま
す。山裾の谷々に末広がりに、小さく広がる集落は、いつ破壊され
るか分かりません。
阿蘇市だけで一面340haも土砂に埋まり、冠水した圃場を復旧す
ることも、河川の改修も急がなければなりません。この際、復旧に
とどまらず、高齢化の中で、集落営農組合や法人化、さらには、ハ
ウス等の複合経営を取り入れた所得確保など、前向きの復興を実現
してゆくことが求められます。さらに、この機会に、戦後植林し、
立派な成木に育ったけれども手がつかないでいる美林をどう活用す
るか、場合によれば、バイオマスとして活用できないか、市長さん
はじめ、市議さん、JA組合長・土地改良組合長さんらの皆さんと
の意見交換の場で申し上げました。原発の再稼働が大問題になって
いる時に、再生可能エネルギーへの具体的な取り組みが必要なのだ
から、こうした検討がなされていいと思います。
【強靭な国土づくりが不可欠】
大分の日田市では、山を挟んで隣り合う2つの川の、ダムを建設
した川の被害は少なく、政権交代後の民主党の事業仕分けでダムの
建設計画を途中で取り止めた川の被害は甚大だったといいます。
アジアモンスーンの下で、急峻な山々と狭い平野と広がった街を
持った日本の国土をどう守るのか、民主党のやり方はここでも失敗
だったのです。計画的、かつ着実な治山・治水が必要なのです。そ
して、この対策のためにも財源は必要ですし、経済の成長も必要な
のです。
ここ20年にも及ぶ低成長とデフレ経済は、自民党政権時代に逆の
ぼり、財政難から公共事業を減らしてきたことが引き金になってい
ますが、政権交代でさらに無駄をはぶくとして、農山漁村の基盤整
備費を大幅に削り、自民党時代に計画していた事業も執行停止にし
たことに原因があります。
どういう国土を作りあげるのか、そのために必要な財源確保のた
めの消費税対策と、その前提となる景気浮揚対策を政策の基本に位
置づけなければなりません。
当面する選挙をどうするか、ということだけではないはずです。
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