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山田としお メールマガジン256号
鹿野農水大臣にTPPで覚悟を迫る

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      ***山田としお メールマガジン No.256***


                      2012年3月27日発行

                  山田としお公式ホームページ
              (http://www.yamada-toshio.jp/)
 
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                鹿野農水大臣にTPPで覚悟を迫る
 
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【農林水産委員会で質疑】

 連日の予算委員会でずーっと座り続けています。いつ何時、私にも
質疑が回ってくるかわからないので準備していますが、なかなか来ま
せん。どうも山田にやらせると、TPPになるので、それでは国民受け
がしないと考えている人もいるのかもしれません。

 それにしてもどうも、参議院では農林漁業問題をテーマにした質疑
者が少ないように思います。TPPや農林漁業を集中審議するくらいの
ことをやらねばならないのに、それがありません。野田政権を追い込
むのであれば、掛け声だけで全く整理が出来ていない社会保障と税
の一体改革、デフレ克服、消費税、さらに、追及しやすい閣僚と関連
させた防衛(田中大臣)、AIJの破たん(自見大臣)問題等がテーマに
ならざるを得ないのはよく分かります。しかし、前原民主党政調会長
が暴論を吐いたように、農林漁業がまさにGDPの1.5%しか占めて
いないということも雰囲気としてあるのかもしれませんが、農林漁業
が地域の安定や国土保全に果たす役割を踏まえてほしいものです。
でないと、この国の将来を誤ります。

 ところで、予算委員会の前に、農林水産委員会で質疑することにな
りました。新しい国会が開会した時に必ず行う大臣所信に対する質
疑です。

 私は、まずTPPについて、どうしても鹿野大臣に確認しておきたい
ことがありました。それは、今、米国等と事前協議がなされ、その情
報をつなぐべく各地で政府の予算を使って、共同通信に主催させて
いるシンポジウムがなされ、賛否両論が交わされていますが、政府
からの情報提供がおざなりで、新しい情報は全くないということです。
ましてや、韓米FTAでは、米国の民間医療法人による病院を韓国内
の特区に設置し、日本と同様の韓国の国民健康保険制度を適用し
ない形で自由診療を行うことが出来る協定になっているのです。そし
て、韓国政府がこの国民健康保険制度を充実させて、この米国系の
病院の経営に影響を与えるような場合には、米国系病院と連携して
いる米国の保険会社が、この韓国政府の政策変更で損害を被った
として韓国政府を訴えることが出来るというISD条項も協定しているの
です。韓国民は、政府が批准直前まで秘密にされてきたこれらの内
容を知った途端に、激しい抗議行動を行っています。

 ところが、シンポジウムでは、政府は、米国との協議では「米国は
日本の公的医療制度の見直しを求めることはない」と言っていると
して、全く論議を深めていません。しかし、米国は、すでに日本に対
して「TPPの内容については、米韓FTAを見てもらえば分かる」と言っ
ているのですから、当然議論があってしかるべきなのです。ましてや、
米国はすでに医薬品や医療機器の扱いで日本に対して厳しい要求
を突き付けてきており、この扱い如何では、日本の健康保険制度の
運営に大きな影響を与えること必須です。


【鹿野大臣は関係閣僚会議で決意を示すべき】

 これらのことも隠した「国民的な論議」では、論議したことにならず、
政府のアリバイ作りに過ぎません。にもかかわらず、国民的な論議
を行ったとして、4月末か5月に予定されている日米首脳会議で、オ
バマ大統領の要求にこたえて、野田総理が、TPP交渉に参加する
と答えてしまうことが一番の心配です。

 私が言いたいのは、訪米の前に、関係閣僚会議で日本の姿勢に
ついて方針を決定していくべきだということです。これ無しに、なし崩
しに交渉参加を進めてしまうことは極めて危険です。あらゆることを
押し付けられてしまいます。また、方針を決める際には、参加の場
合はどういう条件で臨むのかという判断基準を決めていくことが当
然必要です。

 私が鹿野大臣に求めたのはこのことでした。大臣は、「今交渉に
入っているわけではない。協議に入り情報を得ているだけだ」「当然
交渉に入る際には、関係閣僚会議で方針を決定する」と言明しまし
た。私はさらに、その際には、大臣の判断基準を持って臨み、それ
が実現しない時の大臣の覚悟を求めましたが、大臣は、「今そうい
う段階ではない」と言うだけでした。

 ともかくズルズルと野田総理が妥協するのでないのかと懸念される
だけに、鹿野大臣の言明は心強い。自民党の「聖域なき関税撤廃を
前提とする交渉参加に反対」の方針決定は、この意味でも値があった
と思います。


【農林漁業問題は大きくて深い】

 この他、私は以下のことを質疑しました。

 一つは、厚生労働省による文部省の放射線審議会への「放射性物
質に関する新しい基準値」の諮問と決定についてです。4月からの実
施ですが、現に広範囲な汚染が生じたにもかかわらず、厚生労働大
臣は、あくまで安全を守るという立場で基準値は低ければそれに越し
たことはないし責任は追及されないという姿勢で、世界各国と比べて
も厳しい基準値を定めてしまったことです。厚生労働省は、審議会で
の委員の「厳しすぎるのではないのか」という追求に対して「農林水産
省が汚染は少なくなってきており影響は減じている」と言っており、そう
した情報に基づいて判断したと繰り返していました。その意味でも、農
水省には、除染、検査、出荷制限、風評被害への対策と、損害賠償
対策にきちんと取り組むよう求めました。

 二つは、戸別所得補償制度の運営についてであり、米価が下がっ
た分を補てんするという変動支払いが、ややもすると米価をいたずら
に引き下げることになっていることから、変動支払いの財源よりも少
なくて済む需給調整に政府がきちんと取り組むことを質しました。しか
し、大臣の答弁は、特別会計の設置を内容とする戸別所得補償の法
制化について三党協議を行ってほしいというものでした。

 三つは、昨年、東京穀物取引所は、コメの先物取引の試験上場を
申請し、農水省はそれを認めましたが、取引数量は極端に少なく、
まして東穀のこれまでの経営困難がさらに進み、「eワラント」など先物
取引の金融商品を取引活性化につなげようと宣伝するなど、コメの取
引に一層の投機性を導入して経営危機を乗り切ろうとしていることを
指摘し、ただちに不認可とするよう求めました。

 四つは、わが国の農業経営にも外国人研修生や実習生の雇用が、
ここ10年で5倍の1万人に増えています。かつては、あこがれであった
北海道の酪農経営でも外国人研修生等が増えています。これは、規
模拡大、効率化を迫られるなかで、雇用を外国人に頼るようになった
ためです。北海道の酪農経営でも食べて行けないとなると日本の農業
の展望がありません。さらに、産業別に見ても、農林水産業従事者の
未婚率は、大幅に高いのです。これらのことからも、何としても食べて
ゆける経営をつくりあげてゆくべきであることを主張しました。

 日本の農林漁業をどうするか、大きくて深い問題が横たわっています。




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