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***山田としお メールマガジン No.242***
2011年10月31日発行
山田としお公式ホームページ
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鹿野大臣に、政治決断を迫る
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【農林水産委員会でTPPについて質疑】
10月27日、臨時国会が始まり冒頭の農林水産委員会で、鹿野大臣
にTPP問題での政治決断を迫りました。
質問の一つは、TPPは農産物の関税撤廃にとどまらず、食品の安
全、医療・保険、金融サービス、政府調達など、国民生活のあり方
に大きな影響を与えるものであることを、外務省が説明に使ってい
る「TPP協定―よくある質問」という出所不明の資料を材料に、外
務省、厚労省、総務省、内閣府、農水省等、政府の中枢を預かる役
人を参考人として呼んで質疑しました。
【食品の安全】
食品の安全については、出所不明の資料では、「個別食品の安全
基準については論議されていない」が、「今後提起される可能性も
排除されません」としています。しかし、すでに米国から我が国に
対しては、外国貿易障壁報告書や日米経済調和対話(これはこれま
での年次改革要望書を民主党政権になってから形を変えたもの)で
「残留農薬」「食品添加物」「ポストハーベスト」について要求が
来ており、TPPに参加すれば必ず争点になるのじゃないのかと迫り
ました。これには、役人も「少なくとも今の段階で交渉はしていな
い」が、「様々な添加物や、残留農薬の基準の緩和というような形
で要望があるというふうに考えている」と答えざるを得ませんでし
た。
【医療・保険】
医療・保険の問題では、これも「TPP協定交渉において議論の対
象となっていません」といいますが、ニュージーランドと米国のTP
Pの協議では争点になっており、ニュージーランドが強く反発して
いることや、つい最近になって米国議会がようやく批准した米韓FT
Aで、韓国内に特区を設け、米国資本の病院を建設し、韓国の国民
健康保険の枠外で高額の自由診療を認めたことが明らかとなりまし
たが、これでは韓国の国民が平等に診療を受けられる仕組みが壊さ
れるのではないのかと迫りました。さらには、韓国が国民健康保険
を強化する政策をとった場合、米国系の保険会社が、市場が縮小し
たことを理由に韓国政府に損害賠償請求訴訟を起こすことが出来る
条約(ISD条約、毒素条約ともいわれている)が盛り込まれている
ことを承知しているかと聞きました。これには、役人も「これまで
も米国から、営利企業の参入や混合診療の導入等の要求がある」と
認めつつも、「医療保険制度を堅持することが重要で、政府全体と
して慎重に対応していく必要がある」と建前を述べるだけでした。
【金融サービス】
金融サービスでは、郵政や、農協の共済も含む共済について、民
間保険会社との公平な扱いを求める要求が米国からあることを質問
し、役人も「同一のルールを適用すべきという規定が、米国が過去
に締結したFTAにある」ことを認めました。
【政府調達】
政府調達は、すでにWTO協定では、一定の金額以上の公共事業に
ついては外国の企業にも発注を行うことを義務づけていますが、こ
れがさらに金額を下げた小さい事業にまでも義務付けられ、さらに
地方自治体にまで拡大することになると大変なことになることを質
しました。役人も、「TPP交渉において、現時点では中央政府の調
達について議論されているということですけれども、今後地方公共
団体についても取り上げられる模様だというふうに聞いておりま
す」「地方経済への影響ということも勘案しながら慎重に対応して
いく必要がある」と認めざるを得ませんでした。この時は、委員会
内が一瞬ざわめきましたが、こういう問題があったのかという驚き
だったと思います。
まさに、TPPは、農産物の関税問題だけでなくて、これら多くの
分野で米国基準を押し付けるものであり、それらの情報が国民に伝
えられていないことがはっきりしました。「よくある質問」の資料
は、これらの問題があることを渋々認めたものではありますが、そ
の言いぶりたるや、極めてあいまいであり、問題を隠そうとばかり
しています。私の質問は、いささかなりとも、これらの問題の所在
を明らかに出来たと思います。奥歯に物が挟まったようなことしか
言えない役人は悲しい。この国の国民生活が壊されようとしている
のだから、きちんとものを言わなければなりません。
【「各国の多様な農業の共存」がキーワード】
質問の二つは、鹿野大臣に決意を迫りました。それは、大臣の今
国会における所信である委員会の冒頭発言で、WTO交渉については
「多様な農業の共存」を基本理念として引き続き取り組んでいくと
した点であります。私は、これは賛成です。しかし、TPPではなぜ
言わないのかと迫りました。大臣は、「TPPには参加の判断をして
いないので、当然、臨み方も整理していない」というものでした。
TPPがアメリカの意図するように、アジア太平洋地域に拡大して
いく経済連携協定(FTAAP)だというのなら、柔軟性を持ったも
のでなければなりません。日本と同様に、アジアモンスーンで人口
も多く、国土にも恵まれず、零細な水田農業を行うフィリピンやタ
イやインドネシア等の国々と一緒になって経済連携を深め、貿易を
促進することは日本にとっても大事な課題です。それらの国々を仲
間にとり込んでいくためには、関税撤廃を原則とするものであって
はとうてい参加できません。「各国の多様な農業の共存」を理念に
した柔軟性のあるものでなければなりません。そのことを日本は米
国にきちんと伝えるべきです。日本の役割はそこにあります。それ
はアジアの国々からも期待されていることでもあり、日本がアジア
のリーダーとして果たす責任でもあると申し上げました。大臣は、
「TPP参加はまだ決断していない」というばかりでした。
最後に、政治家鹿野道彦として決断すべきだと、言外に、内閣不
一致の場合の大臣の決断を迫りましたが、「TPPの交渉参加につい
ては、どういう協定であるのかということを、国民の皆様方に情報
を提示して議論していただくことが大事だ」というばかりで決意は
聞けませんでした。
ところで、新聞は、野田総理が11月のAPEC総会で参加表明を決
断したかのような報道を行っていますが、私は、内閣か党の様子見
の花火だと思います。これに動揺せず、しっかり態勢を整え、参加
判断をさせない取り組みに全力を上げたい。頑張ります。
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