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山田としお メールマガジン189号
納得できない暴挙

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    ***山田としお メールマガジン No.189***   
   
                 2010年6月17日発行

        山田としお公式ホームページ
      (http://www.yamada-toshio.jp/)

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                   納得できない暴挙

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 鳩山・小沢隠しで菅政権が誕生し、一気に支持率が上がりました。
ボロが出ないうちに、今しかないということで選挙に突入する。そ
のためには国会のルールも、求められる課題への対処も無視する。
選挙に勝つため、それはそれで見事だが、暴挙です。

 当初は、民主党が予算委員会を衆参1日ずつやる、でなければ党
首討論だと提案していました。ところが、野党が予算委員会を各3
日と要求し、そこへ、荒井大臣の事務所費問題も出てきました。口
蹄疫のまん延も止まりません。菅総理の失言も心配です。そこで、
何が何でも選挙戦突入という流れになってしまいました。荒井大臣
のキャミソール問題(女性の下着等の購入費を政治資金から支出)、
江田議長の会館事務所への同居問題、さらには政策秘書の政党支部
長就任による政治資金の二重取り問題等は、3年前の松岡大臣の
「ナントカ還元水」や赤城大臣の「バンソウコウ」問題に劣らず、
テレビや週刊誌をにぎわしたことでしょう。その追及をかわすため
には何でもありの国会運営です。

 通例であれば、今回、与野党を問わず任期満了で退任される議員
への謝辞、国民一人一人が努力した多数の請願の扱い、突発的な災
害等への対応といった閉会中審査の手続き、これらをすべて無視し
た本会議開催拒否は、国民から負託を受けた国会のやるべきことで
はありません。一体、昨年夏の国民の選択は何だったのか、そして、
鳩山・小沢隠し後の支持率の回復は一体何なのでしょうか。

 ところで、菅総理の所信表明と代表質問への答弁は、じっと聞か
せてもらいましたが、必ずボロの出るものでした。これでは民主党
も「菅隠し」をしたくなるはずです。今から考えると、鳩山さんの
「友愛」「東アジア共同体」「いのちを守る政治」の方が、まだ期
待させるものがあったかもしれません。菅総理は、鳩山とは違う特
色を出すべく、具体的な政策論を示したいということだったのでし
ょう。だから余計にわからなくなってしまいました。

 一つは、どこを向いた政策なのか方向がはっきりしないことです。

 郵政改革が典型でしょう。国の出資と管理を強め、一方で市場競
争させようというものですし、農業についての言及は、「観光立
国・地域活性化戦略」の項で、「農林水産業を地域の中核産業とし
て発展させることにより、食料自給率の向上も期待されます」とい
うのみです。

 二つは、自らの信条や信念はどこかへ放り投げてしまっているこ
とです。

 日米同盟を深化させ、海兵隊の抑止力を何の臆面もなく主張しま
す。総理になったのだから現実主義に立つとし、これまでの主張と
は当然異なると言ってのけてしまいます。これでは、選んだ国民は
たまったものではありません。
 
 三つは、経済政策の論議は全く実態を伴っていないことです。
 
 どこかで借りてきた「強い経済、強い財政、強い社会保障」と並
べて、「第3の道」を行くといいます。第1の道―財政による公共事
業中心政策、第2の道―市場原理主義による企業収益中心政策、第3
の道―環境・医療・介護等による需要と雇用の拡大政策、というこ
とだそうです。否定はしませんが、どう考えても経済も財政も社会
保障も別々には存立できません。どの道も関連しているのです。第
3の道を行く時、財政は大丈夫か、財政を支える経済は元気か、経
済活性化のもとになる企業は競争しながら収益を確保し得ているの
か、これらはすべて関係しているのです。スローガンを言うだけで
は、この狭窄した時代は切り抜けられないのです。
 
 四つは、菅さんは極めて単純な人だということです。
 
 歴史の経過も考えずに、小規模で高齢化した農家が集落営農で地
域と農業生産力を再生しようという時に、古い古い主義主張を持ち
出して「コルホーズだ」「人民公社だ」と批判する人です。そして、
各党の代表が代表質問で形容したように、論理破たんするとすぐイ
ライラする「イラ菅」だし、ズルズルとけじめなく言葉が躍る「ズ
ル菅」だし、中身が空っぽの「空き菅」なのでしょう。
 
 もちろん、菅総理と同年齢の私が、総理になって、政策の方向を
定め、信念を持って、明確に説得力を持つことが出来るのかと考え
ると、とても出来ません。だから、自分のことを棚にあげて批判し
ていることは自覚しています。
 
 それでも言いたい。「菅さん、私なら、誠実にやります」と。

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