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***山田としお メールマガジン No.175***
2010年2月12日発行
山田としお公式ホームページ
(http://www.yamada-toshio.jp/)
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立松和平さんに感謝
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立松和平さんという大切な友人を失いました。突然の訃報でした。
昨年末の12月の仲間内での忘年会では、立松さんは奥さんともど
も出席し、元気一杯、まもなく出版する全集のことや次のテーマの
ことについて話していました。
正月は恒例になっている法隆寺の寒行修業に1月の11日から14日
まで出かけ、朝5時からの参禅に加わっていたそうです。帰京して
風邪をひいたらしくて入院し、これまでは何の兆候もなかったのに
5年前に心臓に人工弁をつけていた影響もあったのか、大動脈瘤の
破裂につながり、手術で小康を取り戻したものの2月8日に息を引き
取ったとのことでした。
お通夜・告別式は、和平さんの学生時代からの友人であり絶叫詩
人でもある福島泰樹住職の下谷の法昌寺で近親者のみでささやかに
行われました。お通夜には、毎年各地の温泉地で俳句の会を行って
いる仲間も集まりました。こういう場には必ずいる和平さんがいな
いのは寂しく哀しかった。偲ぶ会は、3月27日に行われるそうです。
和平さんとは、私がJA全中の米穀課長の時、昭和60年(1985
年)にJAグループによるコメの消費拡大をどう進めるかというこ
とで作った米飯学校給食研究会に加わってもらってから交流が始ま
りました。そして、規制改革等で米価や農協への批判が強まるなか
で、JA全中が、食と農の国民的合意を得るために、これまでの米
価大会に代わるものとして消費者団体等と一緒になって開催した、
昭和62年の「いのちの祭り〜食と農を考えるシンポジウム」のコー
ディネーターを務めていただきました。同年代であり、大学も同窓
ということもあり、それから20数年の濃厚な付き合いになりました。
JAグループでも、家の光は、和平さんの出世作「遠雷」の第2
作「春雷」を連載し、日本農業新聞は、和平さんが新しい分野を拓
くこととなった「毒〜風聞・田中正造」を連載し、中央酪農会議は、
小説「酪農家族」では大人向けに、絵本「牧場のいのち」では子供
向けに、牧場の命の営みの物語を作っていただきました。
私が参議院選挙への立候補を決心して出版した「農と日本の再生
計画」(家の光刊)の題字も「あとがき」も和平さんに書いていた
だきました。選挙で全国を回った時、地方で私を紹介する際に、こ
の本の「あとがき」を引用して、「この本で一番いいのは立松和平
さんの『あとがき』だ」というのでこの「あとがき」だけを読み上
げて紹介されたことが一度とならずありました。
訃報に接して、あらためて読んでみました。
「日本の食と農を、いったい誰が守るのか。このことを考えると、
暗澹たる気分になってくる。農業とは日々の糧をつくる人の営みで、
生きる基本の産業である。それなのにこの国では、長いこと農がお
ろそかに扱われてきた。 (中略) 山田としおさんは、日本の農業
を守るために先頭に立ち、獅子奮迅の活動をしてきた人である。
(中略) 農業を取りまく困難な問題は、後から後から激しく押し
寄せてきてきりがない。それらすべてと闘ってきたのが、山田とし
おさんなのである。朝早く家を出て、人が動いている間は秒刻みの
活動をし、人が寝静まった深夜に帰宅する。それからまた早朝に出
勤する。車中では資料にあたり、携帯電話で会議までする。こんな
暮らしができるのは、日本の農業を守ろうという使命感が並はずれ
て強固だからである。誰にもできるというものではとてもない。激
動のくらしをしているのに、いつも静かに微笑んでいる。この日に
やらねばならないことを整然とこなしながらも、遠くを見据えてい
ることを忘れない。そんな山田としおさんに、日本の食と農を託し
たいと、私は願っている。」
感動しました。本当にありがたいことです。
そして、この「あとがき」は、和平さん自身の決意を書いたのだ
ろうと確信しました。「自分はどう生きるか」を常に求めていたの
だと思います。皆と楽しく遅くまで飲んだ後も、「これから原稿を
書く」とそっと私に話していたこともありました。この「あとが
き」で、私を激励しながら、自分自身に語っていたのでしょう。そ
ういう和平さんの決意と激励を今後の私の決意としたい。
和平さん、黄泉の国へ行っても、「どう生きるか」と悩んでいな
いでしょうね。
やすらかにおやすみください。
合掌
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