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***山田としお メールマガジン No.412***
2018年7月17日発行
山田としお公式ホームページ
(http://www.yamada-toshio.jp/)
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被災地の皆さんに、心からのお見舞いを申し上げます
―参議院農業・農協研究会で、JA改革問題を議論―
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【参議院の付帯決議を活用すべきだ】
国会の会期末を控え、閉会後は、総裁選さらには地方議会選挙、
そして参議院選挙という、12年に一度これらが重なる「選挙の
年」を迎える。
その中で、夏から始まる税制と予算の議論においては、JA改革
に伴う中央会の税制の扱い、JA監査の監査法人監査への移行に伴
う負担増問題、そして来年には准組合員のあり方や信用事業の代理
店化等の問題が俎上に上る。まさに、この時期に、参議院農業・農
協研究会を開き、各議員に情報を承知しておいてもらうことが必要
だ。
このことは、6月7日のJAグループの与党幹部への政策確立要
請集会でテーマにされていたが、一般の議員には出席を呼び掛けて
いなかった。そこで、参議院の農業・農協研究会で議員に承知して
おいてもらうための会合だった。
私が設立以来事務局長をやっており、JA改革問題だけでも2年
間で20回を超える研究会を開催してきている。なお、この研究会
は、通算で53回開いており、当研究会における議論は、都度、取
りまとめの上、与党の幹部に申し入れてきていた。
とりわけJA改革の問題については、参議院としての意見の取り
まとめを行い、そのことは、農協法の大幅改正に伴う参議院の農林
水産委員会の議論に反映させてきた。当時の参議院の付帯決議(後
段参照)は、衆議院とは全く異なる充実したものであり、野党との
協議も重ね、まさに、農協改革のあり方にしっかりと具体的な注文
を付けたものであり、今後の議論において政府の動きをけん制でき
るものである。当日の研究会でもその資料を出して、事務局長の私
からその内容を紹介し、思いを新たにした取り組みを訴えた。
【全中、中家会長が、JAの集会での二階幹事長の決意を披露】
当日の研究会では、中家JA全中会長が、政策確立要請集会にお
ける二階幹事長の、「地元からJAがなくなったら、農業も地域も
なくなる。JAはそれくらいなくてはならない組織です」「将来に
わたって元気な農業や地域づくりのためには、ますますJAには頑
張っていただかなくてはなりません。そのためには、JAが希望し
ているいろいろな政策について、我々もその改革の意思に寄り添っ
ていく姿勢が大事で、しっかり対応していきたいと思っています」
「准組合員の規制や信用事業の代理店化などについて、今後の改革
の支障になるという不安な声を現場から多く聞いています。我々は、
そのようなことを押しつけるつもりは全くありません。組合員が判
断すればよいことです。このことは、党としてしっかりお約束して
おきたいと思います」と言明されていることを紹介し、その実現を
要請した。
加えて、JA全中からは、各県のJAの自己改革の取り組みの紹
介と、全農等の事業改革を中心に紹介してもらった。
ところで、税制等の問題は、国会閉会中に早晩議論に上ることか
ら、当研究会の会長代行で党の農林部会長でもある野村先生から状
況を説明してもらった。いずれにしろ、参議院の付帯決議を踏まえ
て、農水省と党との折衝がきちんとなされなければならない。
【西日本豪雨被害は長期にわたる国策の人災だ】
ところでこの夏は、豪雨で、広島・岡山・愛媛等の西日本各地に
未曽有の被害が発生した。河川が合流地で氾濫・逆流し、堤防やた
め池が決壊し、また、果樹園等の段々畑や山の斜面が崩壊して流れ
た。死者も多く、平成に入って最大の洪水災害だという。道路が寸
断され、水道が断水し、カントリーエレベーターや選果場等が破壊
された。
異常気象災害と片付けるのでなく、わが国の河川管理、住居配置
のあり方、山塊の防壁にかかわる問題である。果たして、これら国
土の危険性について対策が着実に講じられていたのかどうか、検証
し点検されなければならない。
一方で、多くのボランティアが動いているのは、日本の国民の相
互助け合いの精神が生きているということだし、地域の農協も、地
域に根を張って活動する組織であるゆえに、全役職員あげて組合員
の支援活動を行っており、その存在は際立っている。誇らしい限り
だ。
【官房長官の講演での「農林水産政策と農協改革の転換論議」は納
得できない】
ところで、官房長官が、11日に、読売国際経済懇話会で講演さ
れ、200名を超える財界人や各国大使等が聴講されたという。
一番最初に、安倍内閣発足後のアベノミクスで、わが国の強い経
済をつくり上げ、GDPも増加し、最大値を示しているし、株価も
上がり、20年間続いたデフレからの脱却、有効求人倍率も0.8
から1.60へと向上したし、企業収益も過去最高で、内部留保も
増額、国・地方の税収も増えていると高らかに唱っておいでになる。
それらはその通りだ。
しかし、その一方で気になるのは、農林水産業を大きく取り上げ、
農業を「守りから攻めへの転換を図った」とおっしゃっていること
だ。減反政策の持直しを40数年ぶりに行ったこと、また、農地集
約化して農地バンクをつくり、意欲のある人に農業を営んでもらい
たい、とおっしゃっている。しかし、これだけでは、必ずしも目に
見える成果が上がっていないためか、「希望」を述べておられるだ
けの印象だ。出席者が企業経営者や外国大使館関係者が中心で、し
かも豪雨被害が生じている時に、若干、遠慮されたのかもしれない。
ところが、農協改革については、強い調子で主張されている。す
なわち、「農協中央会に圧倒的な権限があり、農協はそれに従わざ
るを得ない状況だった」と批判されている。本当にそうだったのだ
ろうか。
そして、「地域の農協が地域の特色を生かせる仕組みを作った」
「結果として就農する人が増え続けている」と高らかにおっしゃっ
ている。「2年間で6万人ずつ増えている」ともおっしゃっている
が、50〜60歳も含めて、他産業を離職された中高齢者が、親の
逝去等を機に農業に戻ったに過ぎない。農地バンクの取り組みも十
分な成果を生んでいない。
もちろん、このことを否定的にとらえるものではないが、もっと
検証されなければならない。本当に、農外から自立的な農家が戻っ
たのか、株式会社等の企業の農業参入と連動した農業雇用の形では
ないのか、等々である。
そして、官房長官は、「林業でも民間の林地を市町村に集約し、
大規模化し、意欲がある人には貸し出せる森林バンクを作った」
「水産業でも、漁協が強力な権限を持っている養殖の仕組みを、公
平な効率的な仕組みに見直すべく法改正をする」とおっしゃる。
そして、規制改革することで、農林水産業の展望は開けると強調
されている。ここまでおっしゃると、農業・林業・そして水産業も、
株式会社等の企業参入を行うということなのかと考えてしまう。ま
さに、地域の農業者の協同の強化ではなく、「農協改革を断行し
た」とおっしゃる形での大々的な企業参入を進めるということなの
かと受け止めざるを得ないのである。
【企業の参入と外国人実習生で解決するのか】
ところで、アベノミクスで経済は発展した、雇用も拡大した、企
業収益も増え、内部留保も増え、国と地方の財政も伸びている、確
かに喜ばしいことだ。しかし、3日余の豪雨が続いたと言え未曽有
の大被害をもたらしたこの国の基盤は大丈夫なのか。我が国の大地
に張り付いた農林水産業は、最も大きな、そして長期にわたる被害
を受けた。国土に張り付き、農地・森林・海の恩恵で生業を得てい
る農業者・林業者・漁業者の経営を企業にやらせる形にして、本当
にこの国の基盤を守れるのか、安定を守れるのか。企業はもうから
なければいつでも撤退する。その例は、一般企業の盛衰でも明らか
なように、日本中で生起している。東京が栄えて、日本の地方が衰
えるのでなくて、地方で所得を上げることが必要なのです。
ましてや、外国人実習生を積極的に受け入れるという。少子高齢
化で、基幹的農業就業者150万人のうち3分の1の50万人は、75歳以
上だ。こうした実態の中で、外国人就労者の拡大と、農地を所有し
ての企業参入は、どういう「日本」や「ふるさと」を作ろうという
のか。
【改めて、二階幹事長の、農協の役割とその評価の挨拶は大切だ】
繰り返すが、二階幹事長は、JAグループの集会で、「地域と農
業にとり農協は無くてはならない存在だ」「准組合員の問題や信用
事業の代理店化問題については、農協が『だめだ』ということを強
行することは決してない」と言明されている。まさに、政府は、
「農協改革を断行した」と誇るのでなくて、地域における農協の役
割と取り組みをきちんと評価し、それを育て強化する政策をこそ展
開すべきなのです。
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農協法改正に関する、参議院農林水産委員会の附帯決議
(H27.8.27)
(衆議院の決議に加えて、参議院の決議は特に【】で囲んだ部分を
盛り込んで決議している)
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一.農協改革は、「【協同組合組織の発展を進める中で、農協が】
自主的な【改革に全力で取り組むことを基本とすること】」
三.「【農業協同組合法第一条の目的を踏まえ、正組合員数と准組
合員数との比較等をもって規制の理由としないなど】、地域のため
の重要なインフラとして農協が果たしている役割や【関係者の意向
】を十分踏まえること」
「また、【改正後の農業協同組合法第七条について、准組合員の事
業利用を規制するものでないことなど、その改正趣旨を適切に周知
すること】」
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改正農協法第7条の規定(「農業所得の増大に最大限の配慮をしな
ければならない」「組合は、農畜産物の販売その他の事業において、
事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、(中略)事業の成長
発展を図るための投資又は事業利用分量配当に充てるよう努めなけ
ればならない」)
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四.「【農業協同組合法第一条は『農業者の協同組織の発達を促進
すること』を旨としており、その観点から】、農協の組織変更は、
【あくまで選択であり、決して強制的なものではないことを周知徹
底】すること」
七.「【農協の監査費用の実質的な負担を増加させない等】の配慮
事項が確実に実施されるよう、【関係者の協議を踏まえ、試験的な
実証を行うなど】万全の措置を講ずるとともに、【農業協同組合監
査士の専門性が生かされるよう配慮する】こと」
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改正農協法附則50条1項3号の規定(「会計監査人設置組合の実質的
な負担が増加することがないこと」)
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九.「【農協等、我が国協同組合の目的・理念について、国民的理
解が深まるよう努力すること】」
「【また、農業団体は、食料・農業・農村基本法において基本理念
の実現に主体的に取り組むよう努めるものとするとされていること
に鑑み、農業団体に関する政策を含む、具体的農業政策の決定に当
たっては、食料・農業・農村基本法の施行に関し調査審議する食
料・農業・農村政策審議会の意見を尊重すること】」
十六.「【農業生産法人の構成要件の緩和に伴い、農地が農外資本
に支配されることがないよう、制度を適切に運用すること】」
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