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山田としお メールマガジン376号
政府・党に求められる「ともに考えていく姿勢」

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    ***山田としお メールマガジン No.376***


                     2016年9月20日発行

                山田としお公式ホームページ
            (http://www.yamada-toshio.jp/)

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    政府・党に求められる「ともに考えていく姿勢」

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【納得できない、繰り返しの農業・JA攻撃】

 安倍内閣が、規制改革推進会議を改めて立ち上げました。これま
での同種の会議に「推進」の名前が入りました。メンバーは、これ
までと同様、多分に、竹中平蔵氏の息のかかった規制改革論者の学
者が揃っています。農業関係者は、これまでもそうですが、除かれ
ています。多分専門委員として、これも市場主義、競争原理導入を
主張してやまないメンバーが選ばれるのでしょう。

 総理の挨拶も、「岩盤規制改革に徹底的に取り組みます。特に、
安倍政権の最重要課題である『攻めの農業』の実現を、加速してま
いります。農業とその関連産業がグローバルに飛躍できるようにし
てまいります。このため、生産資材メーカーや食品メーカーの国際
競争力を高めるとともに、消費者ニーズに的確に対応できる効率的
な流通構造を作り上げてまいります。こうした観点から、関係業界
や全農の在り方を予断なく見直し、生乳に係る抜本的改革と生産資
材及び加工・流通構造に関する具体的施策について、この秋のうち
に結論を出します。ここで一気にアクセルを踏み込み、私が責任を
もって実現してまいります」と気合が入っています。

 ついこの前まで、JA中央会の改革が進められ、JA全農の会社
化への選択も盛り込まれました。これに追い打ちをかけるように、
生産資材等をやり玉にあげ、全農の在り方を見直すとした挨拶にな
っています。


【政府と党が一緒になって攻撃】

 関連して納得がいかないのは、政府による規制改革の動きと、党
の農林部会等との関係です。規制改革推進会議が取り上げるという
生乳の指定生産者団体については、すでにこれまで党が、「我が国
の酪農を将来にわたって発展させていく上で、重要な制度」であり、
「果たしている役割を引き続き堅持する」とともに、生産者の手取
りをどう増やすか、より合理的な集配送の改善や統合も含めた在り
方をまとめています。そして、規制改革会議にもその議論を反映さ
せてきていました。にもかかわらず、政府側が、大々的に再びそれ
らをテーマとして取り上げているのです。党が実態を踏まえる形で
改革を進めると言っているのに、政府がさらに追い打ちをかける。
これでは政党政治ではありません。政府は、党の意向を十分踏まえ
て対処すべきではないのでしょうか。

 一方、生産資材等の問題は、党の議論で、日本と韓国の価格を単
純に比較し、日本のほうが2〜3倍高いとJA全農を攻撃しています。
それをマスコミが取り上げ、JAがいかにも高いものを売りつけて
いるかのような論調で攻撃する状態になっています。そしてそれを
政府の規制改革推進会議が取り上げる。これでは、党と政府が一体
となって農業者やJAをいじめるという形になってしまっています。


【単純に比較できない国土の違い】

 現場のJA役職員は、組合員の要望に応じて、また、圃場や気象
の変化に対応したり作物の特色を踏まえたりして、より効果のある
資材の活用に努力しています。多くの注文に応えようとするために、
肥料も農薬も種類が多くなり、結果的に価格が高いものもあります。
これを努力していないと攻撃されるのでは、たまったものではあり
ません。

 もちろん、改革しなければならないことは多いと思います。「よ
り良い資材を、より安い価格で供給する」ことに全力を挙げねばな
らないのはもちろんです。しかし、わが国の、南北に長い列島の島
国で、高温多湿・寒冷の四季があり、災害も多く、火山島特有の多
様な土壌のもとで、より良い品質の作物生産に努力する農業者やJ
A関係者の努力を考慮せず、ただ、ただ成長戦略と構造改革の名の
もとに、JAや関連企業は既得権益の岩盤を固守していると攻撃さ
れる。まして、それが日頃から応援している党からなされ、その党
が組織した内閣からなされるのは、たまったものではありません。

 もっと、やり方があるはずです。JAグループとの協議を深め、
多くの関係者から実態を聞き、幅広いメンバーによる検討会を設け
て、一緒になって改革案を作り上げる、そんな取り組みが必要なの
ではないのでしょうか。


【成長戦略だけでは律しきれない農林業の特性】

 もちろん、内閣の成長戦略は否定するものではありません。情報
の高度化や流通の変化に伴い、仕事の仕方も制度も見直しが必要で
す。しかし、これも今、議論がなされていますが、青果物等の卸売
市場やコメ卸業者等を通じた流通販売のこれまでのやり方を、「無
駄だ」「構造改革すべきだ」と攻撃されるのは、たまったものでは
ありません。これまでに、それぞれの役割を果たしてきています。
ですから、やり玉にあげる前に、意見を聞き、改革を進めている取
り組み例を推奨し、関係者の理解を得て、それぞれの業や生活が成
り立っていくやり方がなされるべきです。

 これまで、海外の企業も含めた大資本が、大規模量販店を街中に、
そして郊外に展開する仕組みを容認し、結果として、街中の多くの
中小家族経営の商店街を潰してしまいました。確かに世の中の流れ
だったかもしれませんし、多くの消費者に新しい商品と生活の楽し
みを与えたでしょう。そうした中で、新しい仕事を得た人もいれば、
転職を余儀なくされた人もいます。世の中はそれで成長しています。
ですから、すべてを否定できません。

 農業もそうです。高齢化し、農業の就業者は著しく減っています。
もちろん、規模も拡大し大規模法人経営も育ってきています。しか
し、一方で、中山間地の条件不利地域の荒廃が進んでいます。山は
もっと荒れています。こうした国土の荒廃は、容易に元に戻せませ
ん。農外の会社が農業に参入し、新技術や新しい雇用でこれを支え
ることができるのでしょうか。一定のことは出来るかもしれません。
しかし、農林業の特性からして、大資本が期待する収益の実現は困
難でしょう。


【米国もヨーロッパも家族農業が中心】

 まさに、家族経営と、それらが構成する営農組織が、地域の協同
のもとで国土を守っているのです。米国もヨーロッパも、大規模経
営もありますが、大半は中小の家族経営であり、それによって農村
と農業は成り立っています。

 そのことをしっかりと踏まえた取り組みを、党も内閣も進めよう
ではありませんか。それでないと、この日本は壊れていってしまい
ます。


【今次参議院選挙の東北・甲信越の敗北を繰り返してはいけない】
 
 私は、9年前の皆さんの大きな支援で議員になりました。当選し
た当時、安倍総理から熱い激励を受けたことをしっかり覚えていま
す。しかし、その時の参議院選挙は一人区で6勝23敗と惨敗し、衆
参で国会はねじれてしまいました。その後の福田内閣、麻生内閣と
もに、参議院で問責決議が可決され、困難な国会運営が続き、結局
その後の衆議院選挙で敗北し政権交代となりました。その後、3年
間の雌伏の間、参議院選挙で勝ち、逆に問責決議を連発し、そして
衆議院選挙で勝利し第2次安倍内閣が誕生し今に至っています。

 今は、衆参ともに多数を占めているわけですが、今夏の参議院選
挙における東北や甲信越の選挙区での敗北など、農村・農業地域の
様子は違ってきています。近々衆議院選挙が行われかねないという
予測もある中で、まさに丁寧な政権運営と政策展開が求められるの
だと思います。


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