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***山田としお メールマガジン No.358***
2015年7月27日発行
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TPP交渉、合意に向け大詰め
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【カナダを外してはならない】
いよいよ月末には、TPP交渉の閣僚会合が開かれます。米国議会
が曲折を経ながらもTPA(大統領への交渉権限移譲)を決定したこ
とから、一気に合意への動きが強まりました。もっとも、今回のTP
A法は、略称はこれまでと同じTPAでも、議会の影響力を強く温存し、
交渉内容を議会に説明させるとともに、議会が納得しなければ大統
領に再交渉を求めることができる内容であることは、前回のメルマ
ガで記したとおりです。
ところが、カナダが鶏肉、鶏卵、乳製品等の5品目で、国内生産
と貿易において供給管理を行っていることから、ニュージーランド
や米国からの乳製品輸入については、全く交渉がなされていないと
伝えられています。まして、カナダは10月に総選挙を控えています。
長い国境を接している米国とカナダは、歴史的には隣国としての軋
轢もありましたが、しかし、輸出入の貿易量は多く、圧倒的に相互
依存しています。そのため、カナダは12か国のTPP交渉から離脱出
来ないだろうという見方もあり、カナダ抜きで急に合意が進むとは
思えないのです。
とすると、今回の閣僚会合で合意に突き進もうとするわが国と米
国の決意はともかく、TPP大筋合意は容易でないのだと思います。
アベノミクスの成長戦略の一環として、貿易促進のためにTPP合意
を目指したいというわが国の思いと、オバマ大統領の最後の仕事と
してTPP合意を遺産として残したいという米国の思いがあったとし
ても、今回の閣僚会合での合意は容易でないのだと思います。
【日本は、交渉合意を急ぐべきではない】
この状況を見るにつけ、WTOドーハ・ラウンドを7年間も続け、も
う最後という時に、米国は輸出補助金の削減に反発し、中国は新興
国の特別セーフガードの発動基準に反発し、両国が離脱して、イン
ドは二国間の対立を和らげるため反対に回り、150近い国・地域の
うち3か国の反対で決裂したことを思い出してしまいます。この決
裂の後、WTOは停滞し、その後、米国を中心とするTPPや、アジアの
国々を中心とするFTAAP、中韓FTAをはじめとする中国を中心とする
各国とのEPA、EUを中心とするEPA等の動きになっています。その意
味で、TPPは対中国、対EUをねらいにした動きでもあり、日米間に
おいては、中国のアジアインフラ投資銀行設立や、安全保障問題と
も関連しているのです。今、日本と米国が、TPPの早期合意を目指
すねらいもそこにあるとみられます。
先週23日に、前日の「TPP交渉における国益を守り抜く会」で決
定した「政府を挙げて脱退も辞さない覚悟で交渉に当たること」と
する決議を、官邸で総理に申し入れました。安倍総理は、「全力を
挙げる」とおっしゃいましたが、合意を確信している様子でした。
一方で、来年の参議院選挙に与える影響も気にされていました。私
は、米価の低落を水田フル活用対策や在庫の調整で何としても防が
なければならない、と申し上げると、総理は、きちんと聞いておら
れました。8年前、私が初当選した時の参院選では、29の一人区で
自民党が6勝23敗だったことを申し上げたところ、「そうだ2007年
だったね」と、ご自身の第一次内閣時の敗北と緊急入院で退任に追
い込まれた事態を振り返っておられました。
【「世界各国の多様な農業の共存」が大切な理念】
ここで交渉がまとまらなくなると、米国の大統領選挙の帰趨とも
関連して、TPPは漂流するか、もしくは日米二国間のEPAに発展する
のかもしれません。だから、日米両国はここでまとめたいのだと思
います。
と言って、妥協を重ねるわけにはいきません。米国政府や議会は、
改正新TPA法を利用して日本に再交渉を求めてきかねないのであっ
て、そうなれば、これからも困難な交渉を続けることになります。
しかし、米国がねらいとするままに合意を進めるとすると、日本の
農業を、社会を、根底から変えかねません。ここは改めて、2年前
に、安倍総理がオバマ大統領と行った共同声明のとおり、「日本に
は一定の農産品、米国には一定の工業製品(内容の中心は自動車)
というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在
することを認識」したことを改めて確認して、合意を進めるという
ことだと思います。
「世界各国の多様な農業の共存」、これが一番の理念であり原則
です。改めて、各国の気候や国土や歴史は異なるということの認識
が必要です。先住民を追い出し、国土を占有し、広大な粗放的農業
経営を生み出した新大陸型農業と、アジアモンスーンのもとで、山
の多い小さい島国で、土地集約型・労働集約型の稲作経営とならざ
るを得なかった東南アジア型の農業は、当然異なるのです。このこ
とを認識し、お互いの不足分を輸出入する貿易交渉こそが、農産物
については必須であることを、永いWTO交渉できっちり確認してき
たはずなのです。
【改めて、安倍総理の「瑞穂の国の資本主義」を目指しましょう】
そしてもう一つ、米国やEUは、その国の農業経営を支えるセーフ
ティネットを作り上げているということです。すなわち、多様な経
営を支える交付金や不足払い、競争条件の悪い地域への直接支払い
等の仕組みです。その仕組みを支えに、米国もEUも競争力のある農
業を育てているのです。日本にも経営安定対策はあります。しかし、
その規模や内容は、米国やEUに比べて貧弱です。ところが、国内の
認識では、日本の農業は過保護だということになっています。
規模拡大や、生産性が高ければそれでいいのでしょうか。私は違
うと思います。その国の国土や気候に適した農業がなされ、それを
支える家族農業や地域の協同の取り組み、それこそが美しい日本を
維持していることを、国民の皆さんに認識していただきたいのです。
「息を飲むほど美しい田園風景、世界に誇るべき国柄」「必ず私
は日本の農業を、食を守ってまいります」「私は強欲を原動力とす
る市場主義経済の道をとってはならないと思います。道義を重んじ、
真の豊かさを知る瑞穂の国の資本主義を目指してまいります」―TP
P交渉参加を決めた後の、自民党大会での安倍総理の言葉です。私は
、総理のこの言葉に感動しました。安倍総理には、2年前の理念と決
意に戻っていただいて、TPP交渉をリードしていただきたい。
甘利大臣はじめ交渉関係者の努力には感謝します。ここでまとま
らなければ、確かに、再び、長い苦労の交渉を続けることになりま
す。その間、相変わらず、内外から、農業側の抵抗があったからだ
と農業・農協批判は続くと思います。しかし、真に自らの国のあり
方を求めて、「瑞穂の国の資本主義」と「世界各国の多様な農業の
共存」を目指す。それが長い目で見て、真に自立し安定した日本ら
しい日本を作り上げる道程だと覚悟すべきなのです。
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