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***山田としお メールマガジン No.348***
2015年1月19日発行
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「ともに改革を進める」取り組みが必要だ
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【過激な総理の発言】
安倍総理は、16日、中東訪問に際して、政府専用機を背景にしな
がら、搭乗直前に記者の質問に答えて、「農協の抜本改革を断行す
る決意だ。地域の農協を主役として農業を成長産業に変えていく」
「中央会には脇役に徹していただきたい」と発言されたといいます。
「ここまできつくおっしゃるのか」と驚かされました。
よほど佐賀県知事選挙で頭に来ておいでなのかもしれないと見る
向きもありますが、それは違うのだと思います。自民党が公認した
候補に、県農政連が対立候補を擁立したという構図で報道がなされ
ましたが、実態は、自民党県連や自治体の首長の間に、自民党が公
認した候補への異論があり、その結果、総務省の役人を告示直前に
引っ張り出すという動きになり、一方で党が公認した首長出身の候
補は、党の推薦証をもらった際の「農協改革を断行する」「株式会
社の農業参入を大々的に進める」等の発言が報道され、これでは農
業者やJA関係者の理解は到底得られないわけで、県農政連は、総
務省出身の候補の支援に回ったに過ぎないのです。佐賀県は農業県
ですが、しかし、農政連だけで知事を当選させる力があるとは思え
ませんし、大きな得票数の差が生じたことからしても、他に要因が
あったとみるべきです。それらの要因すべてをJAにぶつけられて
も、しょうがないのだと思います。
【何故、中央会改革なのか】
日本に進出している米国の金融・保険会社等で組織する在日米国
商工会議所等は、日本のJAの共済事業が信用事業を兼営する形で
行われていることや、組合員以外の准組合員も対象にしていること
など、他の金融・保険会社等との平等性に欠けることは問題だとし
て、これまでに日本政府に強く迫ってきていました。規制改革会議
は、そうした主張に対応するがごとく、JAの信用事業や共済事業
の代理店化や、経済事業の株式会社化や、中央会の廃止や、准組合
員の利用制限等を論点にしてきました。そして昨年5月と11月に規
制改革会議が出した意見は、在日米国商工会議所等の主張と重なる
内容のものでした。
しかし、これ全部を規制改革するというのでは、JAをつぶして
しまうということになりますが、地域の社会的な組織であるJAを
つぶすことはできないので、とりあえず、中央会に焦点を当て、中
央会の抜本的な改革を進めるという意図があるのだと思います。そ
して、その根拠たるや、中央会は、戦後のJA設立後、JAの経営
問題が生ずる中で、JAの監査や経営指導を進める組織として設立
したが、現時点では役割を果たしたし、むしろ中央会の監査や指導
は、JAの自由な活動を統制し、それが農業の成長産業化を阻害し
ている、というものです。これは、同じ16日、菅官房長官が記者会
見で、「中央会は、経営危機に陥ったJA組織を再建するために導
入された特別な組織だ。だから、これからの中央会は、単位農協を
的確にサポートができるよう、あり方を抜本的に見直したい」とお
っしゃっていることと一致しますし、総理の「中央会は脇役に徹し
ていただきたい」との言とも一致します。
ところで心配は二つあります。
【7年前には、監査と指導は両輪と明言】
一つは、JAの監査を外部の公認会計士が行い、会計の是非を証
明するだけで、果たしてJAの経営維持を図ることができるのか、
JA自身が考え改善することはもちろんですが、JAグループ全体
の支援措置も含めた経営の安定化、改善対策が不可欠です。中央会
がJAを統制していることは決してないことは、JA自身がよく承
知していることであり、また外部監査士や監査法人は多額な経費負
担を伴いますし、中央会監査は会計監査と業務監査の両面でより的
確な経営指導を行ってもらえるという面でも、中央会監査は不可欠
なのです。
なおこのことは、7年前の規制改革会議でも議論になり、その際、
当時の若林農水大臣は、初当選してきた私の質問に答える形で、
「中央会における農協指導と監査というのは車の両輪となって有効
に機能していると評価している」と答弁しているのです。7年たっ
た現在も期待通りの成果を収めているのであって、その際の考え方
を全く逆転するのであれば、これまでの実績をどのように評価して
いるのかを、農水省は説明する責任があるはずです。まさか、官邸
が中央会を外せと言うので、官邸の意向に沿うべく見解を変えたと
いうのでしょうか。農水省はいつから気概のない役所になってしま
ったのでしょうか。
【背景にあるJA解体の狙い】
二つは、規制改革会議は、米国の金融や保険会社が求めるJAつ
ぶしの意向に沿いながら、「農地所有による農業参入に反対するな
ど、既得権益に固執して抵抗する」農業委員会やJAをつぶすこと
を決してあきらめていないのであって、まず当面は、JAグループ
の中央組織であるJA中央会を追い出し、そのうえで、徐々に総合
事業の分解や、経済事業の会社化や、准組合員制度への規制を行っ
ていこうとしているのだと思います。
日本と同じく総合事業を行っていた韓国のJAは、米韓FTA交渉
の動きに合わせて、韓国農協銀行と農協保険会社への分離や経済事
業の会社化が行われてしまいました。また、オーストラリアやカナ
ダの穀物流通・加工・販売を行う協同組合は、米国等の金融資本に
より会社化され、最終的には買収されてしまっています。全農の会
社化を契機に、このことが日本でも行われかねないのです。
【「ともに改革を進めていく」視点が必要】
さてどうするか。党内の議論が20日から連続して行われます。
選挙を終えたばかりの議員は、零細・小規模なわが国の農業者が、
協同を基本に、JAを組織し、歴史的にも社会的にも地域に根差し
て役割を果たしてきていることを十分承知しており、そんなJAを
解体させるわけにいかない、自らの改革を進めながら、時代の変化
に合わせたJAづくりを進めるべき、とする声が圧倒的に強いと感
じます。地域に根差して活動してきている議員は、特にJAに愛着
を持ち、そしてさらに強く役割を果たしてほしいと願っているので
す。
その一方で、JAをきちんと守れば、中央会の形にこだわらなく
てもいいのではないのかとの意見もあります。また、JAは今でも
改革の必要性はあるのだから、このことを契機に改革を進めるべき
だ、JAが自由に活動することで活性化することができる、JAグ
ループが一枚岩で現状を守るというだけでは発展が無い、等々の意
見も出てくると思います。議員の意見も多様です。
これらの声を反映して議論が行われます。JAグループの皆さん
には、農業や地域に貢献するJAの意義をしっかりと訴え、自主改
革をきちんと進めていくことを地方の議員や国会の議員へ、さらに
は自治体の皆さんへ、そして国民の皆さんに伝えていただきたいと
思います。
そして政府には、とりわけ官邸には、一方的にJAを攻撃するだ
けでなくて、望ましいJAづくりを目指して、「ともに改革を進め
る」 視点での取り組みを求めます。
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