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山田としお メールマガジン334号
安倍総理の衝撃的な激しい挨拶

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    ***山田としお メールマガジン No.334***


                     2014年6月16日発行

                山田としお公式ホームページ
            (http://www.yamada-toshio.jp/)

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         安倍総理の衝撃的な激しい挨拶

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【「看板の書き換えに終わらせない」とは】

 6月13日、規制改革会議の答申がなされました。5月22日に提言さ
れてから、20日程度でしかありません。その際、安倍総理は答申を
受け取り、次のように挨拶されました。

 「規制改革は、アベノミクスの扇の要であります。医療改革、農
業改革等を中心に、これまでできるはずがないと思われていた、い
わゆる岩盤規制に大胆に踏み込んだ力強い提言をいただいたと思い
ます」
 「こうした改革は、もう既に長い間改革を進めてきて、小泉政権
以来進めてきて残ったものでございますから、大変困難ではありま
すが、その困難な改革に対して皆さんには処方箋を出していただい
たわけでございますから、あとは我々政治家の実行力で、しっかり
結果を出していきたいと思います。難しいとは言っても、国がしっ
かりと計画を持って、意志を持っていけば、やり抜くことができる
わけであります」
 「農業面では、農業委員会、農業生産法人、農業協同組合、三位
一体の改革。特に今回の農協改革は、60年ぶりの抜本改革でありま
す。農業の主役は農業者であり、そして地域の農協であります。不
退転の決意で抜本改革に取り組んでいかなければならないと思いま
す。とりわけ中央会については、農業、そして地域の農協を活性化
させるためにどうあるべきか。ゼロベースで考え直すことが必要で
あると思います。改革が単なる看板の書き換えに終わることは決し
てないと思います」
 「我々政治家は、地方を基盤としております。農家の方々とも普
段お付き合いをしていて、彼らの収入が増えるように何を成すべき
かということを、今までやっていないことが随分あったのは事実で
あります。日本の農業者・生産者が間違いなく、真面目に良いもの
を作っている。しかし、その良いものが果たして消費者のニーズに
合っているのか、付加価値を生んでいるのか、輸出をするための努
力をしていたのか、ということをもう一度よく考えながら、そのた
めの組織として、頑張ってもらいたいと、このように思うところで
ございます」
 「安倍政権のモットーは、スピードと実行であります。農協の抜
本改革も早急に具体的な制度設計に着手し、次期、通常国会に法案
を提出する考えであります」


【総理の発言の真意はなんなのだ】

 長くなりましたが、全文を掲載しました。総理の決意が伝わって
きます。それにしても、「単なる看板の書き換えに終わることは決
してない」というのは、ひどい言い方ではないでしょうか。こんな
に激しい言葉はあまり使いません。とりわけ一国の総理がここまで
発言するかと思います。どうしてここまで言われるのか、相当怒り
があるのか、それとも、総理が自分で選んだ民間の有識者が、相当
の期間をかけて議論したものを、与党自民党が修正したものだから、
委員の労をねぎらうことと、申し訳ないということで挨拶されたの
かもしれないのですが、もう少し言い方があると思います。

 新聞各紙も、社説で「農協改革の後退」「首相の覚悟が疑われ
る」と、自民党に修正されたことを批判しています。総理も、こう
した世論の動向に気を使われたのかもしれませんが、納得できませ
ん。

 もともと農業やJAのことをよく御存じない企業経営者や、日頃
から、JAを批判してはばからない学者等を集め、これも一匹狼の
ようにJA批判を叫んでいる農業者を選んで意見を聴取した会議の
まとめです。現地の視察も行われたし、しっかりやっているJAも
呼んで意見を聞きました。しかし、それらをまとめたのは、多分、
自由な市場競争でしか経済成長はできないと考えているお役人達で
しょう。総理がダボス会議で演説された「既得権益の岩盤を打ち破
る、いかなる既得権益も私のドリルの刃から無傷ではいられない」
という言葉を「総理指示」として受け止め従っているのです。

 当然、これらに反論があってしかるべきです。与党自民党は、5
人の幹部(後に6人)による会議を連日開催し、党の考えを取りま
とめました。その苦労は大変なものがあったと思います。もっとも、
平場と呼ばれる多くの衆参議員が参加する議論は、5月下旬の最初
の1回と6月初旬の2回の3回だけでしたが、各議員は、規制改革会議
の委員よりも、それぞれの選挙区の実態をよほど承知しておられる
ので、多くの意見が出されました。こんなに、皆さん、農業やJA
のことを心配してもらっているのだと、私も感激しました。ですか
ら、こうした党の意見を盛り込み修正された答申に対する総理の言
葉は、納得がいきません。


【背景は、対米関係とTPPと成長戦略か】

 総理の「看板の書き換えに終わらせない」という言葉は、JA全
中のことを言っているのだと思います。規制改革会議が当初「廃
止」と言っていたものを、党が「自律的な新たな制度に移行する」
としたことについてでしょう。とすると、総理は、JA全中に相当
の不満を持っているということです。JA全中は、プロパーの職員
は130人、監査事業に携わっている出向者等の100人を含めても230
人でしかありません。このような小さい組織に、全国のJAの自由
な活動を統制する力はもともとありません。私は、38年間、JA全
中で業務に携わり、そのことを実感しています。それなのに総理が
「看板の書き換えに終わらせない」とまでおっしゃる背景は、別に
あるのかもしれないと思います。それはまさにTPPのことかもしれ
ません。

 総理としてみれば、対中国との外交問題等からしても、そしてア
ベノミクスの評価を決める成長戦略の具体化のためにも、対米関係
を重視せざるを得ません。そこで、11月に中間選挙を控えて苦しん
でいるオバマ大統領の、TPPだけでも選挙前に成果をあげておきた
いという寿司会談での申し入れに応えるということなのかもしれま
せん。

 こうした事情を分かってくれないJAグループの頑ななTPP阻止
の主張に、総理は反発しているのかもしれないのです。実際の対米
交渉の場では、米国のフローマン代表が、米国の業界団体が関税の
撤廃と日本抜きのTPP推進を主張していることを背景に強硬姿勢を
とっています。これに対して、甘利大臣も、日本でも国会の決議や
JA全中をはじめとする農業団体が強硬姿勢で圧力をかけてきてい
る、状況は全く同じだとおっしゃって交渉にあたっておられます。
JAグループの強い姿勢は、交渉の場で大いに活用してもらえばい
いのであって、安倍内閣に反発しているわけではありません。


【日本の農業とJAのためのゆるぎない改革案を作ろう】

 今回の党の取りまとめに大きな役割を果たされた森山裕衆議院議
員は、「新農政における農協の役割に関する検討プロジェクトチー
ム」の座長でもありますが、答申があった13日の前日、農政ジャー
ナリストの会の講演で、その最後に、個人的な思いと断ったうえで、
「JA全中は、政治運動をやめて、農業者農政運動組織にゆだねた
方がいい」とおっしゃいました。鹿児島県の最も農業が盛んな地域
選出の議員として、勇気ある発言だったと思います。

 党の取りまとめにあたって、官邸や規制改革会議との厳しい折衝
を行った森山先生の思いは、これからJA全中が新しい組織として
出発するまで、まだまだ多くの課題を抱えることを受け止めたうえ
で、率直におっしゃられたのだと思います。先生の考えは、JA全
中のあるべき農業政策づくりや要求は当然であるが、実現運動は、
農政運動組織へゆだねることが国民的な合意を得ることになるし、
JA全中が、真に、地域におけるJAの発展に向けてますます役割
を果たすことにつながることをおっしゃったもの、と私は思います。

 さあ、これから、JA全中の事業・組織について、新しい制度を
提言しなければなりません。JAグループはもちろん、組合員農家、
そして各界各層の代表者による「JA改革委員会」のような会議体
を設けて、ゆるぎない成案を得てゆかねばなりません。日本の農業
とJAのために必要です。そして、どういう法律にするのか、どう
実現するのか、それは国会議員である私の役割です。存在を懸けて、
全力で当たります。


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