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***山田としお メールマガジン No.324***
2013年12月9日発行
山田としお公式ホームページ
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農地中間管理機構法案について質疑
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【会期末で苦労した委員会運営】
ようやく農地中間管理機構法案を成立させることができました。
なにせ、法案が衆議院から送られてきた後、会期末まで1週間しか
残されていませんでした。そんな中で少なくとも2回の委員会を開
いて、採決まで持ち込まなければなりません。ところが、特定秘密
保護法案も衆議院から参議院に送られて来ており、会期末を目指し
て、ともかくこれを成立させようとする安倍内閣の強い姿勢と、国
会を取り巻くデモやマスコミの動きに引きずられるかたちで、民主
党が強硬戦術をとりはじめました。このことが、農林水産委員会の
審議手順にも大きく影響しました。民主党が農林水産委員会も遅ら
せようとして、いろいろと難ぐせをつけ始めたのです。
これまでは、農地中間管理機構法案について、衆議院での修正を
一緒になって実現しようということで、私に修正の考えを示し、そ
れができれば賛成するからと言うので働きかけてきていた民主党の
委員も、手のひらを返すように、「定例日(火曜と木曜)以外には
審議できない」「法案の提案説明と審議日は一緒にできない」「国
会対策委員会がどう判断するか、自分は判断する立場ではない」と
いうようになってきました。これでは、到底1週間で法案を仕上げ
られません。結局、委員長裁決で、日程を決めざるを得ませんでし
た。すると、とたんに民主党の委員は、「これでは正常じゃないの
で出席できない」と言い始めました。結局、2日にわたる委員会質
疑も参考人質疑も、民主党は欠席しました。しかし、会期末の6日
の前日の5日に、民主党以外の各党の出席のもと採決を行いました。
ところで、民主党が批判した「1日で提案説明・審議・採決を行
う」という手法は、民主党が与党だった3年3ヶ月間で3回も強行し
ていたのです。野党だった自民党は、それを認めてきたのです。ま
さに民主党は、自分のことを棚に上げた批判だったのです。
【本会議での委員長解任決議の反対討論は空振りに】
ところが、「民主党が欠席した委員会での審議と採決は認められ
ない」として、民主党は農林水産委員長の解任決議を本会議で行う、
と言い出しました。急遽、筆頭理事である私に、解任決議反対の本
会議討論を行ってほしい、と幹事長室から連絡がありました。夕方
4時過ぎの委員会採決から間もない夜の7時には本会議だといいます。
それから急いで反対討論の原稿を作り、関係方面に回覧し、登壇に
備えましたが、結局、夜9時からの本会議では、厚生労働委員長の
解任決議が出されただけで、農林水産委員長の解任動議は出されず、
私の作業は空振りに終わりました。
なにせ、当日の朝4時まで、徹夜で本会議が開かれ、8時からはサ
トウキビの政策や交付金単価等を議題とする、自民党の野菜・果
樹・畑作物等対策小委員会があり、鹿児島県や沖縄県や長野県のJ
A中央会会長さんらも出席されるときに、その場にいないわけには
いきません。5時に寝て、7時に起きて、2時間だけ寝て、後は丸1日、
農林水産委員会の参考人質疑と委員会審議に臨みました。その頭の
状態で、本会議壇上からの討論だというので、気合いを入れて書い
たのですが、成就しませんでした。残念です。というのは、徹夜で
審議した他の委員長の解任決議の反対討論に比べて、私の討論内容
は情感あふれるものであり、また日頃から大変よく知っており農政
論議でも多くの共感があり、そして委員会運営上はカウンターパー
トでもある民主党の理事の悪口は言わず、民主党幹部の判断の誤り
を追及するものだったからです。我ながらよくできたと思っていた
のですが――。
【農地中間管理機構運営上の課題を質疑】
ところで、大事な農地中間管理機構法案については、私も思いが
あるので、30分という短い質疑でしたが、大事なところを質疑しま
した。
一つは、当法案の狙いは、地域の農業を担う持続的な家族農業経
営を作ることが本旨であり、決して企業参入を目指すものではない
ということの確認です。というのは、総理は、農林水産業の活力創
造本部で、「従来の農政の流れを抜本的に見直す、そのために、農
地中間管理機構を作る」と挨拶しており、これでは企業参入を促進
させるものとみられるからです。このことについて、林農水大臣は、
地域の担い手を作り上げることが一番の課題であり、地域に担い手
がいない場合のみ、公募による新規就農者や他の農業生産法人等の
参加をすすめるものである、と答弁しました。
二つは、広く公募を行った場合、多くの応募者に対して機構が借
り上げた農地を貸すことになりますが、どういう基準で該当者を選
定するかが課題になります。その場合、農業への進出を狙いにする
企業に貸し付ける前に、まず現に地域に所在する担い手を優先する
にしても、その貸し付けの際の選定基準が必要になるわけで、私は、
原則として、地域で取り組んでいる人・農地プランを基本にするこ
とを求めました。なお、このことについては、規制改革会議や産業
競争力会議が、人・農地プランは既得権を擁護するものであるとし
て、人・農地プランの法定化に反対していた経緯があったわけです
が、質疑において、地域の調和を基本に人・農地プランに基づく協
議の場を設置し、きちんとした貸し付けルールが定められるよう、
法案修正を行っていることを確認しました。
三つは、機構は、借り手のいない条件の悪い農地を借り入れ、な
いしは借り入れた農地の貸し手が見つからず長期に機構に滞留する
ものについては、借り入れを解除し、所有者に返すとしているわけ
ですが、これでは、条件の悪いところは結局耕作放棄地になるか、
業者が暗躍している太陽光パネルメーカーの食い物になるのではな
いか、と問いただしました。林大臣は、まず借り入れの希望者がい
るかどうか事前に調査するし、また、貸付先をしっかり探すべく機
構に努力させる、と答弁しましたが、この点は今後の機構のあり方
の大きな課題になると思われます。
四つは、私は、野党の時にプロジェクトチームの座長として策定
した担い手育成総合支援法案の検討のため、個人的にフランスのサ
フェール(日本で言えば土地整備公団とでも呼ばれるもの)を訪ね
ましたが、サフェールは、農地売買等の情報があればまず農地の先
買いの機能を有し、売却に当たっては、若い新規就農者を優先し、
その農地に近接して住むこと、規模拡大農家についても、既存の農
地から5キロメートル以上離れた農地を取得する場合は特別な許可
が必要になる等の規制を講じて、あくまで農地耕作者主義とも言う
べき理念を基本に、地域に根ざした持続的な家族農業経営を育てる
ことに全力を挙げていることを紹介し、当機構もそうした方針で運
営することを求めました。
【地域の創意を生かして機構の活用をはかろう】
このほか、機構の借り受け料や貸し付け料、さらには簡易な基盤
整備を機構が行った場合の負担がどう貸し付け料に反映されるのか、
一定の年限が過ぎた後の解約等はどう進めるのか、その際の改良さ
れた農地の評価をどう判断するのか等々の課題がいっぱいあります
が、時間がなくてそこまで質疑できませんでした。
ともかく、マスコミや経済界が求める形での一般の多様な企業が、
平野の条件のいい農地を優先的に取得するために、機構が農地の貸
し借りと整備を行うものでないことを確認できましたし、そうさせ
ないよう法案の修正を行いましたし、附帯決議にも盛り込むことが
出来ました。
地域の農業を元気にするには、ともかく、地域の農業を支える農
家が元気であること、所得を実現できていること、地域の協同の取
り組みを大事にしていること、美しい誇るべき農村を作り上げてい
ることが必要です。機構がその役割を果たせるよう、地域の関係者
が一緒になって、知恵と工夫を発揮していくことが求められるので
す。頑張りましょう。
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