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***山田としお メールマガジン No.321***
2013年11月11日発行
山田としお公式ホームページ
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生産調整廃止論議の顛末と課題
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【参議院選挙で遅れた本格検討】
本当に、困難な論議と結果でした。それは生産調整廃止騒動につ
いてです。
今になって見ると、こういう経緯があったことを思い出します。
参議院選挙が終わって、公約である農業の多面的機能を評価する日
本型の直接支払いと、経営所得安定対策の見直しを急がないと手遅
れになりかねません。26年度も戸別所得補償制度をそのまま継続す
ることになり、法案も26年度に仕上がらず27年度になると、実施は
28年度になります。とするとその夏は、参議院選挙が確実にあり、
衆議院選挙も同時に行われる可能性が非常に高い。内容いかんでは
大混乱になります。
私は、早くやりましょうと幹部会で発言していました。しかし、
参議院選挙が終わったばかりだし、TPPの「タリフライン検証問
題」や9月上旬の国会開会前の副大臣等の人事もあって、落ち着い
た論議になりませんでした。ところが、10月に入って、急に年末ま
でに案をまとめ、法律は26年の通常国会になるが、予算措置で戸別
所得補償制度の見直しと、新しい直接支払制度を実施に移すという
ことになったようです。
「ようだ」というのはあいまいな言い方ですが、少人数の幹部で
の議論にならざるを得ないので、それは仕方が無いのですが、参加
していない者にとっては、判断に加われないのは何とも残念です。
私自身は部会長代理だし、当然加わってもいいのですが、そこは難
しい。TPPでは突っ張っているし、ごりごりの抵抗勢力のJA出
身です。選挙が終わった後、参加を求めましたが、これまでの経緯
もあるからというので入れてもらえませんでした。まあ、幹部会に
は入っているのだから、非公式チームに入っていない方が、自由に
意見を言えるということではいいのかもしれないと納得させていま
した。
【産業競争力会議が、突然、生産調整廃止を提案】
ところで、生産調整の扱いについては、当初は非公式チーム内で
も議論はなかったように思います。戸別所得補償を見直すとなれば、
間違いなく生産調整実施者を対象とする10アール当たり15,000円の
固定支払いの扱いや、米価低落時の変動補償支払いの問題を議論せ
ざるを得ないので、どう扱うかは議論されていたのだと思いますが
表に出ていませんでした。その生産調整の論議に火が付いたのは、
10月24日の産業競争力会議内につくられた農業分科会で、ローソン
の新浪委員が、生産調整の3年後廃止を打ち上げてからです。新聞
は一面トップの記事にするし、全国中、大騒ぎになりました。
新浪委員の生産調整廃止の提案の内容は次の点でした。
・生産数量目標は、担い手の自由な経営判断や市場戦略を著し
く阻害している
・28年度には、生産数量目標の配分を廃止し、生産調整を行わ
ないこととする
・仮に過剰米が生じても、政府が市場に直接介入することはあ
ってはならない
・農業収入の過大な変動に備えるための対策についても、青色
申告等を要件とし、補助金の単価の削減や期限を区切ること
この内容は、これまでの生産調整廃止論者が常に言いだす論理で
もありましたが、党の非公式チームが生産調整問題を言い出さない
ものだから、業を煮やした誰かが火をつけたに違いないと思います。
私もこの提案を見たとたんに、「後出しジャンケンだ」と党の部会
で言わせてもらいました。党のチームの検討状況を熟知した上で、
一番弱いところを突いた内容だったからです。
結局、産業競争力会議が農業分科会を開く11月7日までに党とし
ての対応案を出さざるを得なくなり、まさにバタバタの党内論議を
行うことになってしまいました。結局、議員誰もが参加できる平場
の議論は10月25日、31日、11月6日の3回のみで、翌7日の朝刊は全
紙が、「減反廃止、5年後めど、自民が了承」と報じました。そし
て、7日の産業競争力会議は、この案を了としたらしい。そして、
翌8日の新聞とテレビは、今度は、固定支払い分は5,000円に減額と
報道しました。一体これは何なのでしょう。誰かのシナリオにまん
まとはめられてしまったということでしょう。3回にわたる党の部
会の議論では、多くの疑問や反対論が出されていました。だが、時
間が過ぎるうちに帰る人が出て、2時間後まで残っていた議員は10
人程度でしかありませんでした。これでは、「承認」されてしまい
ます。
【私の生産調整のあり方に関する考え】
私自身は、JA全中に入会後40年の仕事の大半は、生産調整のこ
とでした。その上での私の考えは、要約すると以下の内容です。
[1]コメの需要減、引き続く過剰生産傾向等からして、必要な需要
に沿った形でのコメの計画的な生産は何としても必要
[2]問題は、産業界やマスコミの主張は、計画生産を支える政策を
準備しないまま、生産者の経営感度や自由な競争にゆだねとし
ていることである
[3]我が国における様々な地域の実態、多様な流通ルート、小規模
農家から大規模経営という生産の実態の下では、一定の指標や、
計画生産を担保する制度的な仕組みが無いと適切な計画生産は
進まない
[4]その意味では、
一つは、一定の計画生産の目標が必要である
二つは、水田の総合的な利用を進める作物対策が不可欠である
三つは、地域における水田総合的な利用を担う主体が必要であ
り、集落営農や個別法人経営等の主要な担い手が複合経
営に取り組む対策が必要である
四つは、豊作で過剰が生じ、価格の大きな低落が見込まれたり、
価格低下が生じた場合、それら過剰分を主食以外に仕向
けるための誘導策や、国や民間による過剰米の隔離等の
対策が不可欠である
以上の対策が準備されない限り、計画生産は破たんします。
まさに、これらについての効果的な仕組みが準備されなければな
らないのです。
【最大の課題は、過剰時の対策と仕組み】
今回の議論においても、どう対策を講ずるのかにかかっているの
であって、その意味では、どういう財源で、どういう対策を講ずる
かであり、とりわけ、過剰の時の対策をどう効果的なものにするか
にかかっています。
それらのことが何ら具体化されず、「5年後に生産調整廃止」だ
けが突出してしまいました。私が一番懸念し、幹部会でも、そして
11月5日の農林水産委員会でも指摘した過剰米の問題についても、
現段階の整理では、「生産者自らの取り組みを基本としての販売の
見込みが立たなくなった主食用米を、需要が期待できる加工用や飼
料用等へ供給するなど、豊作・需要減等に対応するための民間主導
による需給安定の取り組みが可能となるよう環境整備」とされたま
まです。このことをどう具体化するか、最も重要な問題です。
【5年後を目指して、いかに環境を整えられるか】
一方、生産調整の扱いについては、党の整理はもっと微妙であり、
単純に「5年後に減反廃止」というものではなく、「これらの対策
を進める中で、その定着状況をみながら、5年後を目途に、行政に
よる生産数量目標の配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等
を踏まえつつ生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に
応じた生産が行える状況になるよう、行政・生産者団体・現場が一
体となって取り組む」とまとめています。もっと言うと、[1]政府
による目標配分は行わないこと、[2]5年後は目途であること、[3]
これから5年間、円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう
行政・生産者団体・現場が一体となって取り組むこと、ということ
であり、いずれにしろコメをめぐる環境からして一体となった取り
組みは必要です。産業競争力会議に取りあえずの考えを示し、具体
策はこれからです。一つの乗り切り策であり、知恵と言えば知恵で
すが、ただ、全国の農業者や関係者に大きな不安を与えてしまいま
した。申し訳ありません。
さて、11月5日に、私は、農林水産委員会で、30分しか時間があ
りませんでしたが、質疑に立ちました。冒頭はTPPについて、残
りは生産調整について質疑しました。やはり一番の問題は、過剰時
の対策だと思います。これをしっかりするため頑張ります。
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