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山田としお メールマガジン200号
理念なきTPPへの参加

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       ***山田としお メールマガジン No.200***   
   
                 2010年10月18日発行

        山田としお公式ホームページ
      (http://www.yamada-toshio.jp/)

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                 理念なきTPPへの参加

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1.市場原理は「お化け」

  物の貿易のみならず、経済・金融、そして社会において自由化が進み、
市場原理が貫徹するというのは、かくのごときことなのかと驚かざる
を得ません。

  日本銀行の中途半端な為替取引への介入をあざ笑うごとく、効果が
ことごとく帳消しにされて円高が進んでいます。通常なら米国や欧州
各国との調整がなされるところですが、両者とも経済運営の弱点を抱
えているため、ドル安、ユーロ安でも構わない、自国が大切という動
きになっています。むしろ、中国が、自国の経済成長を維持するため
に国家が元安を誘導して世界の貿易を独占するような形で跳梁してい
るので、それを懲らしめるためには、円高が進み日本が苦しむのは副
次産物としてやむを得ない、日本も輸出国として自国(米国や欧州)
の生産を脅かしてきたのだからそれでいいや、という感じなのかもし
れません。まさに、自国のため、他国のことなど構っておれないし、
自らもどうにも手が打てないのだ、ということなのでしょう。それほ
ど市場原理というのは『お化け』みたいなものになってしまっている
のです。

  わが国は、大手の企業が、再度日本を離れて、工場生産を世界各国、
とりわけ労賃の安いアジア各国に移さざるを得なくなっています。ス
ズキ自動車は、予定していた静岡県内での工場新設を海外に移すとし、
三菱自動車もタイに拠点を移して後は輸入するといい、ますます国内
生産は空洞化に向かっています。企業として、「儲かれば好いという
だけじゃないのか」、「何で国内を大事に出来ないのか」という批判
はできます。しかし、厄介なのは、企業の収益が落ちたとたんに、資
本自由化のなかで海外の企業に株を買い占められ、企業買収が進めら
れてしまうのでないかという恐怖があり、身動きできないところがあ
るのです。

2.わが国経済の停滞の原因

 わが国の経済成長が停滞しているのは、人口減・高齢化で国内需要
が伸びず、海外の需要をあてにせざるを得ない、そのため、輸出を拡
大したいのに、円高で、それが抑制されてしまっているからです。銀
行等も、不景気で国内投資が出来ない過剰な資金を海外に投資するこ
とで配当等の利益を得てきたが、これも円高で利益が低いものになっ
てしまっているからです。

 これでは、企業からの税収も上がりません。国内の雇用も制限され、
国民所得も向上しない、そのため国内の需要も増えない、国内で物が
売れない、あらゆる価格が低くなるというデフレ経済が続いています。

 農業面では、海外から輸入するものは円高で安く購入できるが、海
外から安い農産物が入ってくることになります。国産大豆が売れずに
在庫が積み上がっているのは、取引業者が円高で輸入しやすくなって
いることと無関係とは言えません。国産大豆の取引価格を引き下げれ
ば、農家の手取りは大きく低下してしまいます。円高は、こういう形
で、国内の農産物が売れない、価格が上がらないという状況をも作り
出してしまっています。

3.TPPへの参加と民主党の体質

 こうした状況の中で生じている最大級の問題は、TPP(環太平洋戦
略的経済連携協定)への参加問題です。菅総理の「強い経済、強い財
政、強い社会保障」をつくるという方針は、まず、ここ20年停滞して
いる経済成長を進める、そのためには、成長著しいアジアの需要を取
り込む必要がある、それでしか、必要な税収も雇用も確保できないと
いう理屈です。そして、すべての関税撤廃を原則とするTPPに参加す
る、農産物も例外としない、国内農業とのバランスは配慮する、戸別
所得補償制度で農業には補助金を出しているし、さらに出すからそれ
でいいだろう、これまでの自民党政権が出来なかったことをやるのだ、
そうした世界に踏み出すのだ、ということのようです。

 民主党政権の問題は、その中心が大企業労組出身の議員で固められ
ており、連合の支援も得ていることです。自らの企業と、その労働者
の雇用を守るためには、背に腹は代えられない、農林漁業を犠牲にし
てでも、補助金を出して納得させて、世界の貿易自由化の潮流に加わ
ってしまおう、というものです。

 隣国である韓国がそれで乗り切っているじゃないか、貿易自由化に
日本が乗り遅れては世界から取り残されてしまうぞ、というのが民主
党政権の主張です。確かに、韓国は、ノ・ムヒョン、イ・ミョンバク
の両政権において、ユーラシア大陸の小さな半島の商業国家として生
きていくためには貿易しかないというので、農業者の抵抗を押し切り、
10年間で10兆円の予算を農業団体や農業者に支出することで、米国や
EU、アジア各国との自由貿易協定に合意し、また締結してきました。
しかし、韓国の農業は、日本と同様、またはそれ以上に高齢化し、農
業生産は低迷し、急速に自給率も落としてしまっているのです。麦の
国内生産は1粒もないというほど海外に依存しているし、ソウルのキ
ムチの材料の99.9%は中国から入ってきたもので作られているという
話もあるほどです。
 
4.TPPで農業は壊される

 日本国内の新聞はまったく同じ論調で、「農業団体と農業者の抵抗
を排して、農業の構造改革をすすめ、世界の仲間入りをせよ、韓国を
見習え」と声高に叫んでいます。「戸別所得補償はそのためのものだ
ったのではないのか」とも叫んでいます。永い間、このことに苦しん
できた自民党議員の一部にも、「これまで農業サイドの抵抗で手を打
てなかったが、この際、民主党政権になった時にこの厄介な問題を決
着させてしまえばいい」とする動きも見え隠れしています。

 本当にそれでいいのでしょうか。わが国が、明治維新後、市場経済
に突入し、アジアでは一番先に、成長と貧困から脱出したのは間違い
ありません。しかし、このままで市場原理に巻き込まれてどんな国づ
くりを行うというのでしょうか。私は決して、わが国経済の成長を否
定するものではありません。しかし、TPPへの参加が、わが国経済や
農業にどう影響を与えるのか詰めもしないで参加を模索するというこ
とは、とうてい認められません。迷走している普天間や消費税の問題
を繰り返すだけです。

 生物多様性が今叫ばれています。地球温暖化で多くの国々が苦しん
でおり、温暖化ガスの削減は、地球生き残りの最大命題となっていま
す。環境問題を叫びながら、一方で、市場原理に巻き込まれて、農林
漁業の生産を壊してしまったら、それが可能なのでしょうか。農林漁
業を壊してしまって、国民の食の確保や、美しい自然と景観や、高齢
化し過疎化した地域を守ることが出来るのでしょうか。「世界の多様
な農業の共存をはかること」このことが問題解決の理念ではないので
しょうか。

 金をかければいいというものではありません。食べてゆける経営を
つくり、自立と誇りがあってこそ、家族も地域も元気になります。こ
の国をどうつくりあげるのか、今、その瀬戸際にあります。

 このTPP参加について、私は、質問主意書を菅総理に提出しました。
1週間後には回答が来る予定です。十分な回答が来るとは思えません
が、これを戦いの手がかりにして、この国のあり方を考え、闘って行
きます。


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